沖縄県与那国島のカツオを利用した「石垣島かつおだし」の製品工場が、石垣市で25日に竣工式を行なった。石垣市の中山義隆市長をはじめ、地元関係者100名が参集し、沖縄県で初めてとなる水産系天然調味料工場の完成を祝った。
工場関係者が完成を祝った
「石垣島かつおだし」は石垣市でミネラル天然塩を製造販売する地域ブランド「石垣の塩」の社長である東郷清龍氏らが中心となって、昨年度から水産庁のビジネス・プラン事業の助成を受けたカツオだし事業。与那国島の漁師が利用していなかったカツオを活用、カツオだし製品とする「石垣島かつおだし」を設立。すでに与那国島にあった漁協所有の旧鰹節工場を再利用して、カツオだしの1次加工場を8月に竣工稼働させている。今回、与那国島の工場に続き、石垣島での化成品工場を完成オープンさせた。
与那国島の1次工場は、カツオを採割する装置(ヘッドカッターなど)、煮釜、薫製装置、冷凍設備を整備している。また、石垣市の2次工場は薫製状態の粉末カツオを整粒、ふるいにかけ、さらに2次整粒を行い袋詰する工程を備えている。
1次、2次工場の総工費は1億円、そのうち2500万円の助成を石垣市や水産庁から受けている。同社では与那国島工場に8名、石垣島工場に7名、合計15名の従業員を新規に雇用、さらに今回の本格稼働に合わせて雇用を拡大する。当面は1日300tの原料処理をめざす。
東郷社長
25日の式典では、東郷社長ら役員が工場入口にお清めの酒(泡盛)をまき、工場の完成と安全稼働を祈った。その後、工場敷地内に仮設したテントの祝賀式場で、東郷社長が「今回の事業は石垣島の食品業に携わる金城力氏(マーミヤ蒲鉾・沖縄県蒲鉾組合副会長)ら仲間と一緒になって、与那国島で利用されていないカツオを原料にかつおだしを生産する。自然の食材であるかつおだしを利用して、いろいろな食品をつくっていきたい」と挨拶した。
続いて来賓として水産庁の補助金の事務局(漁業就業者確保育成センター)を務めるRPIの岩藤一樹社長が「この事業では与那国島の1次加工場がすでに稼働しており、これに続き石垣島での2次加工場が完成、いよいよ本格的に製品を生産することなった。本事業が発展し、与那国島の漁業者の収益向上と地域の発展に貢献することを期待している」と挨拶した。
中山義隆市長
中山義隆市長は「先日、与那国島マラソンに参加して走ったが、かつての旧鰹節工場がかつおだし工場に再生されていたのが見え感激した。製品は、お土産として販売されるほか、新たな食品のジャンルを拓く食材として大きな可能性をもっている。マーケティングをしっかり行い、大いに販路を拡大してほしい。石垣島かつおだしが地域振興に果たす役割は大きく、期待している」と挨拶した。
乾杯の音頭を水産タイムズ社の辻雅司理事が行ない、懇親会が行なわれた。