最新マテハンで作業負担を軽減、フードディフェンスを強化
中村屋 武蔵工場(下)

工場建屋は鉄骨造2階建て、縦65m×横200m×
高さ11m。延床面積は約1万5000㎡

 中村屋の武蔵工場は中華まんの基幹工場として昨年8月稼働開始した。従業員約90名で1日あたり40万個を生産する。トップシーズンを迎え、生産ラインはフル稼働状態が続く。生産体制の拡充に伴い、最新マテハン機器を導入して省人化と自動化を進めているほか、新たな管理システムを導入してフードディフェンスやトレーサビリティの強化にも取り組んでいる。

 中華まんは原材料の受入れや中具調理、生地のミキシング、発酵、包あん、成型、蒸し工程などを経て作られるが、重労働を必要とする作業が少なくない。そこで作業負担を軽減するマテハンを各工程に導入している。
 原材料の受入れ室には重量物の持ち上げ、搬送を補助するハンドクレーンや自動倉庫を設置した
 仕込み工程でミキシングした生地は自動搬送装置で発酵室に送られる。発酵室も自動倉庫で管理している。
 一次発酵した生地はAGV(無人搬送車)で成型ラインに搬送する。ここで生地を1つずつ分割して延ばし、真ん中に中具を載せた後、下から包み込むようにして成型する。手包み感にこだわった新たな包あん方式で品質を向上させた。
 同社の中華まんは出荷エリアによって一部冷凍品もあるが、商品温度帯はチルドがメイン。ホイロ室で二次発酵し、蒸し工程を経た後は大型のスパイラル冷却庫で1時間かけて冷ます。従来型に比べて約400m分の省スペース化を実現した。
 冷却後は画像検査機、X線検査機を通し、最後に従業員が目視で中華まんの形にゆがみがないか、敷紙のズレがないかなどを検品して包装、箱詰めラインに流す。ここでは完全自動化を進め、ロボットが製函から商品の箱詰め、封函、パレタイジングまで連続して行う。

虹彩認証で入退室管理

 武蔵工場では新たに入退室管理システムを導入した。虹彩認証と「カラービット」と呼ばれる個人認証の自動技術を併用して入退室を厳しく管理する。従業員が担当外の製造エリアに移動するのを制限して交差汚染や異物混入を防ぐ。さらに監視カメラと連動させるなどフードディフェンスを強化している。
 トレーサビリティは原材料の受入れ時からQRコードを活用し、製造や包装、出荷情報を商品とひも付けして管理している。生地が入ったボックスにもQRコードを添付しており、生地が分割された後は1個ずつ管理システムに登録する。原料コードや製造日、賞味期限、ラインコードなどを管理し、出荷後もトレースバックできるようにしている。 
 生産部門責任者の佐良土理文(さらどみちふみ)取締役兼常務執行役員は「品質保証や作業環境の向上、地域社会の融和を重視し、メーカー機能を強化して競争力を高め、次代につながる工場をめざす」と語っている。

   蒸し上がった中華まんはスパイラル冷却庫(右側)に流れる