中国工場は内販50％めざす
ワタナベフーマック��
渡邊英二社長
ワタナベフーマック��
渡邊英二社長
スライサーなどの食品機械メーカーのワタナベフーマックは昨年８月、中国河北省に渡邊食品機械（河北）の新工場を竣工した。渡邊英二社長は｢為替レートの変化やコスト増で中国生産の環境が１年で大きく変化した。中国国内での販売を50％に高めたい｣と語る。
――北京オリンピックの開催中は大気汚染を減らすために現地の工場がストップしたり交通規制があったりと大変だったのでは？
渡邊 パラリンピックの期間も含めて鉄関係の業種は休業。下請けも休業していたので当社の工場もストップしていました。当初から予定していたので大きな影響は受けませんが、かといってプラスになることは何もなかった。輸送コストも一時的に通常の３倍から６倍になりましたし。
――一般にコピーが多いお国柄と聞きます。
渡邊 競合製品の物まねは80社ほどもあります。５〜６年前に比べ何倍にも増えています。それだけ需要が増えていて、競争も激しいとうことです。最近は原料コストが高くて若干落ち着いてきた感はありますが。
――やはりコピー商品はかなり安い？
渡邊 七掛けから半値です。そういうところと戦うわけですから、価格だけならかなり厳しい。もっとも、性能的にピラミッドの上の部分の客を狙い、安価でそれなりのニーズは現地のコピーにまかせておけばいいという考えは当社だけでなく欧米企業も同じでしょう。
――新工場における輸出の比率は？
渡邊 輸出が中国国内を上回っています。輸出先は日本に限りません。理想を言えば中国国内販売を増やし、輸出50％、国内50％にしたい。
――中国での利用は日本のようにスーパーの加工場用途が多いのですか？
渡邊 いえ、基本的なターゲットは外食産業です。しゃぶしゃぶ（中国では火鍋など）チェーンの需要が大きい。しかし、期待が大きいのはスーパーですね。ローカル企業もそうですが、日系など外資系のスーパーもです。イオンは中国で100店くらいまで増やすそうですし、日本と同じようにバックヤードの需要が増えればかなり期待できます。
――日本では食肉加工施設や食品工場でも使われています。
渡邊 現状で多い外食のしゃぶしゃぶ用途は冷凍肉のスライスですが、今はフレッシュ肉のスライス用途にも啓蒙を広げていますし、食品工場向けに日本の最新式装置も提案しています。国民の所得が増えればニーズは増えるわけで、二ケタ成長はともかく、高い伸びはまだ続くと期待します。といいますか、為替や労務費の上昇を考えると、あとは市場の成長率に期待するしかないかな、と（笑）。元ドルレートは一昨年が8.3、昨年7.4、今は6.8に上がって、しかも原材料が上がっていて、今はメリットが少ないのです。
――日本国内の販売状況は？
渡邊 昨年から今年にかけてハムソー関係の需要はまぁまぁです。多少なりとも設備投資のきざしがありました。ですが、欧州の機械も輸入販売しているので、ユーロ高で利益は厳しい。
――真空包装機やミキサー、スタファー、フリーザーも扱っています。
渡邊 フリーザーは菱豊のプロトンを扱っています。
――電磁波や磁束を使って氷結晶を小さく凍らせる方式ですね。弱い磁場の付与が凍結時に影響を与える原理は否定されていますが？
渡邊 単純にフリーザーに磁場を付与しただけではどうかと思います。普通の強さの磁場が影響するのはほんの短い距離ですから。しかし、目に見えないニュートリノの振る舞いがどう影響するかは完全にはわかっていません。高品質に凍結できたという成果が再現性があるものなら否定できないのではないと機械メーカーは言っています。当社がこのフリーザーを扱うようになったきっかけは、凍らせた肉をスライスする時にその感触が全然違うからなのです。普通に凍らせた肉はキーンキーンと高い音がして、肉が巻かれてスライスされます。しかし、当社のフリーザーだとすんなりと刃が入っていきます。氷結晶の大きさが異なると切れ方も異なると考えています。
――なるほど、スライサーメーカーとして切れ具合で違いが感じられると。
渡邊 当社は製造より営業マンのほうが多い。ですからスライサーを作るだけでなく、他社の良い機械を扱いながら提案していくのです。