鳥栖に６温度帯商品保管拠点を新設、全館ＬＥＤ
福岡運輸（福岡市、富永泰輔社長）は、佐賀県が鳥栖市幡崎町に開発した物流拠点用地「グリーン・ロジスティクス・パーク鳥栖」内に、在庫型物流センター（ＤＣ）と通過型物流センター（ＴＣ）の２つの機能を併せ持つ24時間稼働の６温度帯商品保管拠点「九州配送センター」を６月に竣工、７月１日から本格稼働を始めた。建坪2000坪。全館にＬＥＤ照明を導入する同社初の試みも行なった。
九州配送センター
鉄骨造２階建て、収容能力１万5000ｔの定温倉庫。冷凍・チルドの食料品を６つの温度帯（−25℃、＋２℃、５℃[荷捌場]、10℃、20℃、25℃）のもと、ケースからピース単位まで、商品の形態に合わせて保管できる。
固定ラック、移動ラックのほか、「中量ラック＋フローラック」の導入により小ロット・多種の商品を効率よく管理する。−25℃に対応するフローラックも新規に開発し、冷凍スペースにも設置している。
１階（1000坪）は冷凍庫、冷蔵庫（＋２℃）、ドライ庫（＋25℃）の倉庫３室にそれぞれ固定ラックと「中量ラック＋フローラック」を設置し、ピース単位で管理が必要な少量・多アイテム商品を保管する。
２階（1000坪）には冷凍庫３室と冷蔵庫３室（＋２℃、10℃、20℃）の計６室にそれぞれ固定ラック、または固定ラック＋移動ラックを備え、ケース単位管理の商品を保管。滞留のないスムーズな入出庫環境を整えている。
１〜２階への荷移動は垂直搬送機２基とエレベーター１基を使う。
ＬＥＤ照明の明るい庫内
棚や商品を全てバーコード管理し、紙のピッキングリストを使用しない。
入庫時に個別番号と商品データ（賞味期限やロケーションなど）を付加して入庫ナンバーをシール発行するため、バーコードレス商品にも対応できる。入庫ナンバーを糸口に、事務所端末やハンディターミナルで作業の進捗状況や入出庫情報をリアルタイムで確認。状況に合わせて即座に人員を投入できる。
ハンディターミナルと倉庫システムが明細単位でデータをやり取りし、あらかじめ設定した情報をもとに検品、格納、出荷のチェック機能を働かせる。前回よりも古いロットが入庫した場合や格納・出庫のミス発生時はアラームが鳴る。
倉庫システムは輸送システムとも連動し、入庫から納品まで一元管理している。出庫の際、入庫票スキャンで出荷を確定しピッキング。オリコンに格納し、オリコンラベルをスキャン。これで商品と配送先、積載車両、オリコンがデータ上で紐付けされ、納品まで一元管理できる。荷主は専用サイトにアクセスすると、リアルタイムで自動更新を行なう入庫・在庫・出庫の情報を確認できる。
保管スペースには固定ラック、移動ラックのほか、ピース単位商品の先入れ先出しを行なう「フローラック」を導入した。従来はケース単位留まりだった荷役を、ピース単位まで可能にした。
倉庫をはじめ、事務所、外灯にいたるまで全館にＬＥＤ照明を導入する同社初の試みも行なった。ＬＥＤは省エネ、高輝度、長寿命（約７年）であるうえ、紫外線を発生しないため、虫の誘引性が低く、防虫対策に効果があるという。
横吹き循環型エアシャッターを設置
横吹き循環型エアシャッター
福岡運輸の九州配送センターは冷凍・チルド品の入出庫口が計18バースある。ドライ品の入庫専用バースも車両５台分持つ。そのため、冷凍・チルド品がヒートショックにさらされることはない。
冷凍・チルド品の専用バースは全て観音開き扉を採用した。観音開き扉は内側から外側に向かって開くと同時に、バースシェルターが自動的に膨らみ、ここにトラックの荷台を接車する。接車後、倉庫内からトラックの荷台を開くため、荷捌場に外気が流入するのを最小限に留め、優れた気密性を発揮し、塵や虫などの侵入を防いで庫内の環境を清潔に保つ。
観音開き扉とシェルターが連動する仕組みは同社関西センター、大阪支店、福岡支店の３拠点で既に導入し、効果が実証されている。
１階と２階の冷凍庫入口部分には「横吹き循環型エアシャッター」を設置した。荷捌場の暖気（プラス５℃）流入や庫内の冷気流出を防止する。庫内温度の安定化により、寄託品の品質劣化や有害菌の発生を防ぎ、品質を保持する。
ＡＩＢ国際検査統合基準に準拠
九州配送センターは「ＡＩＢ国際検査統合基準」を導入している。これは米国の製パン業界の衛生管理基準で、健全で安全な食品を提供できる状態を維持するため施設が満たすべき重要な要求事項を列挙したもの。これに則り、年１回の監査を受け、安全性と衛生管理を維持した運営のもと寄託品を取り扱っていくという。
実施事項として同社は次の３点を挙げている。
�〕�害生物モニタリング装置の週次点検とガラス硬質プラスチックの月次点検の実施。
��入庫貨物と積込車両の温度チェックを行ない、基準をクリアしない場合、入出庫をストップ。
�Ｉ垓餽膕媾蠅粒稜Г醗媼姥�上のために自主点検を月１回実施、安全衛生委員会などで水平展開と取り組みの方向性を統一。