高効率でオゾン水生成、食品工場の殺菌・洗浄に
田中貴金属工業は従来の40倍の効率でオゾン水を生成できる白金系電極を開発した。サンプル提供は既に開始しており、2013年中に量産を目指す。食品や家電製品、自動車工場の製造行程で出る排水処理の殺菌・消臭に役立てる。
開発したオゾン生成電極
今回開発した電極は水を電気分解して高効率でオゾンを生成できる白金系電極で、１�屬△燭�0.1アンペアという低い電流条件で30分間、水を電気分解すると、3.6ｐｐｍ（ｐｐｍ＝100万分の１）のオゾンを生成できる。
従来の白金電極は同条件下で生成できるオゾン水が0.09ｐｐｍと、生成効率が低いのが難点だった。しかし、チタンと白金を合金化させて新規の触媒層を構築した電極は陽極として使用した場合、水の電解によって生成される酸素の生成電位を高電位化（高酸素過電圧化）することができる。このため、通常の電極では起こりにくい酸素生成反応と競合する陽極反応を効率よく発生させることが可能となった。
チタンは酸素過電圧が高いが寿命が短く、白金は寿命が長いが酸素過電圧が低いという特性を持っている。同社はここに目を付け、相反する特性を持つチタンと白金を最適な条件で合金化し、両者の長所を併せ持つ新規の電極触媒を構築。これにより、従来の４０倍という高い生成効率が実現した。
電解のオゾン生成方式（電解法）を採用している殺菌水や洗浄水は同電極に代替すると消費電力を抑えられる。同社は「ランニングコストを従来の10分の１以下に減らすことが期待できる」と強調する。また、排水処理や半導体洗浄にも活用できるという。