徳洲会グループはダイエタリーケア「千葉セントラルキッチン」に続く、第2、第3のセントラルキッチンを計画している。“千葉”での経験を生かして国内を代表する施設をめざし、士気を高めている。
食事の盛り付け
グループ念願のセントラルキッチン。最新鋭の設備を導入した同施設だったが、開設当初の食事は、入所者から“もう少しおいしいといいのに”という声があがったという。ニュークックチルで再加熱を効率的に行おうとすると、熱伝導をよくするために調理済みの食品を平たく盛り付ける、加熱時間を一定にするなどの制約がでてくる。これが、見た目や味が単調になり、おいしさや食事の楽しさが半減する原因となっていた。
献立はクックチルで標準的な2週間サイクルで組んだので、飽きられやすかったのかもしれない。マニュアルに沿ったメニューを優先してしまった。
これを一刻も早く改善するため、山元取締役はセンターに泊まり込み、新たなメニュー作成に取り組んだ。2週間だった献立のサイクルを6週間に増やし、いろんな形やパターンを盛り込み、バラエティ豊かなものにした。
「入所者は毎日の食事を楽しみに待っている。それを裏切るわけにはいきません」と山元取締役。「最初の失敗があったからこそ、今があります」と胸を張る。
徳洲会グループには全国360を超える医療施設がある。「千葉セントラルキッチン」のように、介護施設にはセントラルキッチン方式で対応する方針を固めたが、大型病院には院内完結型のニュークックチルを採用している。「もしも地震が起きても、病院は免震構造のため建物は残ることができます。近隣の人が避難した際、病院で食事を提供することができます。緊急の際の地域の拠点にもなれるので、病院は院内完結型が望ましい」(山元取締役)。地域とともに活動している様子をうかがわせている。
山元取締役(左)と豊島センター長
同グループはすでに千葉セントラルキッチンに続く第2、第3のセンター建設の構想を練っている。「設備はすばらしくても、それを動かす人が育っていないと何も意味がありません」と山元取締役は気を引き締める。
食事を受け入れるサテライトキッチンの人材育成も重要。そのため、サテライトキッチンの責任者を毎月センターに集めて研修会を開いている。
コーチは3名。豊島センター長はメンタル部門を担当、副センター長は施設などの高齢者向けの食品についてレクチャー、もう1名は栄養士としてのスキルアップを担当している。「グループ本体は当初1年経たずして、第2の建設を考えていたようです。しかし、千葉セントラルキッチンの仕組みが完成していなければ、次の施設でも同じ失敗を繰り返しかねません」。人材あっての施設運営を強調する。
同様のセントラルキッチン建設を検討している事業者の見学が後を絶たない。「グループで第1号のセントラルキッチン。スタッフはみな、グループのモデルになれるよう盛り上がっているとともに、日本を代表するセンターになれればと仕事に取り組んでいます」と目を輝かせる。