移転・統合で迅速な対応実現

 一般財団法人日本食品検査(旧日本冷凍食品検査協会、福間浩一理事長)は今年5月移転した東京平和島の本部・首都圏事業所を6月28日、報道関係者に公開した。
 東京芝大門の東京試験所と横浜試験センターを集約したことで、受け付け、サンプリング・試験を同一施設で実施できるようになったほか、大井、品川、東扇島など主要なサンプリング地区へのアクセスが横浜に比べて便利になった。
 入居するビルの3階に本部と首都圏事業所、4階に首都圏事業所試験室がある。3階には本部職員42名、首都圏事業所88名の計130名が在籍。仕切りのないフロアにいるため、各部の連携がスムーズになり、顧客からの相談に迅速に対応できる。

    分析能力の高い機器を導入

 4階は微生物試験室と理化学試験室に分かれ、残留農薬、カビ毒、添加物、放射能、貝毒、異物、微生物、遺伝子の試験に対応している。放射能試験では東日本大震災以降、ゲルマニウム半導体検出器を導入している。
 分析機器は、動物用医薬品、食品添加物等を分析する高速液体クロマトグラフ、残留農薬などを分析するガスクロマトグラフなどに加え、より高性能な分析機「Q ExactiveFocus」を昨年導入した。食品の分析に導入しているのは同所のみで、顧客の幅広い依頼に応えられる体制を敷いて、差別化を図っている。
 輸入食品の試験実績は、2015年度の命令試験検査試験を1万4656件、命令検査以外の輸入食品が1万8884件で、いずれもトップシェア。

 首都圏事務所では微生物検査を年間約3万件、1日当たり100〜150検体実施する。理化学試験も多い日は1日100件に及ぶことがあるという。今年度の試験実施見込みは、微生物試験が3万検体、理化学試験が2万5000検体。理化学試験は、同事業所で使えない試薬があるため仙台と関西(神戸)の検査所に移管する。そのため横浜試験センターで昨年度実施した3万4600検体に比べて約3割減少する。
 日本食品分析は日本冷凍食品協会の委託を受けて認定工場の定期検査、更新調査、指導・製品の検査をしているが、事業高全体に占める割合は8%とそれほど高くない。
 福間理事長は「もともと輸出冷凍水産物の検査業務を目的に設立したが、今では幅広い食品の分析、実験、衛生調査のほか、コンサルティング、セミナーなど事業が多岐に渡り、旧名称では実態を反映できていないことから、改称を決めた。首都圏事業所は機能的で生産性の高い施設として新たなスタートを切った。受け付け、サンプリング・試験を一体化したことでフットワークに優れ、迅速に対応できるようになった。今まで以上に顧客と向き合い、課題解決の要望に応えたい」と語っている。