AI活用の最新シミュレーション技術

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は機械設備や人、作業工程などをコンピュータ上で再現し、生産の最適化につなげるデジタルツインソリューションの提供をこのほど開始した。
 
 食品機械を含む製造現場では「デジタルツイン」と呼ばれるシミュレーション技術がデータ活用のキーワードとして注目を集めている。機器センサーの進歩やIoTの普及に伴い、工場や物流現場の物理的な環境(フィジカル空間)をそのままコンピュータ(サイバー空間)上で再現できるようになったことで、製造工程の全体最適化が実現できる。

 CTCが提供するデジタルツインソリューションは予測のためのAIと、最適化や制御のためのシミュレーション機能を備えたIoTプラットフォーム。工場設備の異常をAIでリアルタイムに予測し、その予測にもとづいてシミュレーションを実行することで、工場の最適な生産計画を算出したり、シミュレーションのパラメータ(設定値)をAIで調整して計画策定の効率化につなげたりすることができる。

 機器からのデータ収集とAIの実行環境としてはIoTソフトウェア大手の米国SAS社の「SAS Event Stream Processing」を使用する。大量データのフィルタリングや正規化、分類、集約などを高速で行い、エッジ(機器)上でAIを使った高度分析が可能になる。

 シミュレーションソフトは英国ソフトウェア会社の「witness」を使う。生産ラインや物流、交通、事務業務などの様々なプロセスを簡単にモデル化し、アニメーションによる可視化や多角的なレポートで計画の定量評価を可能にする。最新バージョンでは無人搬送車や無人搬送ロボットの給電システムのモデル化を含め、デジタルツインやIoT化のための機能が盛り込まれている。
 CTCは今回のシステム販売を製造や物流分野を中心に展開し、年間10社への提供をめざす。

           デジタルツインソリューションのイメージ