コロナ禍で営業赤字に転落も、新規顧客の獲得は好調
�螢潺�リード 代表取締役社長 片山礼子氏
片山社長
個人経営の居酒屋をメインに業務用食材の通販事業を手がけるミクリード（東京都中央区）は東証マザーズ上場後初となる上期（４〜９月）決算会見を２日開いた。コロナショックが居酒屋を直撃した影響は大きく、営業赤字に転落した。一方でネット受注率が大幅に伸び、新規顧客の獲得数が前年同期を上回るなど明るい兆しも見える。片山社長は「チェーン店に比べて個人店のほうが回復ピッチは速い」と語り、下期の業績回復に期待を示す。
「新型コロナの影響で2021年３月期第２四半期の売上高は前年同期比37.7％減の12億9900万円と大幅減収になり、営業赤字（▲8200万円）となった。一方で、１カ月当たりの顧客数は前年同期に比べて約10％の減少にとどまっている。さらに新規獲得の客数が前年同期を上回った。緊急事態宣言解除後、足元では回復基調が強まっており、４月の売上げは前年同月比32.8％だったのが、９月は81.3％まで戻している」。
「上期に実施したコロナ対策が一定の成果をあげた。送料無料になる金額を6000円から3000円に引き下げたほか、ランチやテイクアウトに合わせたメニュー提案を強化し、居酒屋メニューからの切り替えにつなげてもらった。その結果、顧客の流出を最小限に抑えることができ、６月以降の顧客数は前年同月並みまで戻した。
また、コロナ禍でも貸倒損失は過去最少だった。これは当社のメイン顧客の居酒屋で倒産、廃業が少なかったこと、持続化給付金などの公的支援を活用したこと、クレジットカード決済の比率が高まっていることなどが要因として考えられる。
コロナ禍ではネット受注率も大幅に伸び、52.3％と半数を超えた。特に新規顧客のネット経由の比率が95.7％と100％に迫る勢いで増加している。この注文システムの設備投資はアフターコロナを見据えて継続する。登録から注文への導線を改善したり、ＣＲＭ（顧客関係管理）機能を増強したりする。有益な情報を検索、提供できる環境も整備し、新規顧客の増加、見込み客へのリーチ度を高める」。
代理店経由の売上げ５倍の事例も
「今期の重点施策としてシステム投資と代理店開拓を進める。（今年３月の）東証マザーズ上場時に調達した資金はＥＣ機能強化に向けた投資に使う。すでにＩＴ専門の人材を採用した。
代理店のテンポスバスターズとの協力関係は深化しており、テンポスバスターズ経由の売上げは４〜９月の間に約５倍まで伸びた。
さらに大阪ガスと中部電力ミライズの合弁会社、ＣＤエナジーダイレクト（東京都中央区）とも提携し、自分たちの顧客に相手の商品を相互に紹介する取り組みを始めた。
全国に居酒屋だけで12万件、飲食店全体で45万件ある。ネット受注システムを活用したり、代理店の開拓を積極的に進めるなどして、ターゲット領域を居酒屋以外の業種に広げ、顧客数の拡大を図る。
既存顧客に向けては取扱い商品を拡充するほか、人材紹介や送客などの新たなサービス展開を提供し、顧客単価の向上を図る」。
「ＧＯ ＴＯ ＥＡＴ」に期待
「下期も回復基調は続くとみる。個人店はチェーン店に比べて売上げ回復のピッチが速いし、当社の顧客はコロナの影響がそれほど深刻でない地方に多い。『ＧＯ ＴＯ ＥＡＴキャンペーン』の追い風にも期待している。
ただ、冬を迎えて感染状況がどうなるか、予断は許さない。そのため下期計画は保守的に策定し、売上高は前年同期比10％減、営業利益はとんとんとみる。通期では売上高が前期比23.9％減の31億円。営業損失8000万円、経常損失7000万円、当期純損失4500万円での着地を見込んでいる」
（かたやま・れいこ）1965年新潟県生まれ。1988年日興証券（現ＳＭＢＣ日興証券）入社。1992年金型部品のカタログ販売を手がけるミスミ（現ミスミグループ本社）に転じ、2003年同社フード事業部長、2006年フード事業部を分割してミクリード設立、2007年酒類販売チェーンカクヤスのミクリード吸収合併に伴いカクヤス執行役員、2012年ミクリード社長就任、現在に至る。