アレルギー対応のケーキ注力、専用ラインの検討も

 シャトレーゼはアレルギー対応商品を基幹事業に育成する。「乳と卵と小麦粉を使わないケーキ」の専用ラインは持っていないため、将来に向けた対応を検討している。

スポンジの焼き上げに試行錯誤を重ねた

 すべての人においしいケーキを届けたい。それも通常のケーキとほとんど変わらない価格で――。そんな思いで7年ほど前にプロジェクトが発足。「乳と卵と小麦粉を使わないケーキ」は牛乳の代わりに豆乳、卵の代わりに大豆たん白、小麦の代わりに米粉を使用している。
 米粉が持つ「ネチャついた」食感は配合を微調整することで納得のいくスポンジに仕上げた。また、豆乳が持つ豆特有の香りを消すために、青臭さの少ない豆乳の選定やフレーバーの選定を重ね、自信のあるクリームを完成させることができた。

 開発段階でアレルギー対応のケーキは完成した。しかし、それを実際に工場で生産しなければならない。
 ケーキの原材料から、牛乳や卵、小麦はなくせたが、工場内の空気中や製造ラインなどに残っている可能性を考慮するため、通常の製造ラインを止めたり、粉が舞わないように空調を止めるなどして対策をとっている。
 コンタミ防止――を念頭に、機械の洗浄に1日をかけるなど工場の管理を徹底的に見直した。

完成したケーキ
誕生日ケーキはアレルギーを
持った子供たちにも喜ばれている

 開発チームや工場スタッフをはじめ、全社員の思いを込めて全国に届けられるケーキ。「おいしいケーキをありがとう」と消費者から感謝の言葉が寄せられた。
 こうした同社の取り組みは消費者の間にも浸透してきており、年々引き合いを高めている。しかし、「アレルギー対応の商品事業は育成の段階。目標や課題はまだたくさん残っている」(同社)と気を引き締める。
 この商品は白州工場(山梨県北杜市)と豊富工場(同中央市)で生産しているが、まだ専用ラインを持っていない。生産する際は通常のラインを止め、1日かけて機械を洗浄してから稼働するため「現行のままでは効率的ではない。今以上に引き合いが高まれば専用ラインの導入も検討する」と将来を見据えている。
 食物アレルギーはこれに限ったものではない。他にも様々な種類がある。「すべての人たちにおいしいケーキを届けたい」。この思いを共通の意識として、同社の商品開発の挑戦は続いている。

豊富工場

白州工場