ベトナムの生産体制増強、国内外需要に応える
ビナフーズ共栄 社長 野宮竜一氏

 パン粉の共栄フードの海外子会社のビナフーズ共栄(ベトナム・ホーチミン市)は本社工場に続き、ベトナム中部ダナン市にダナン工場をこのほど本稼働した。新工場の役割やベトナム生産の利点等を野宮竜一社長に聞いた。

    野宮社長

 ――ベトナム第2工場が完成した。
 野宮 ホーチミン市郊外(ベトナム南部)にある本社工場に続き、ベトナム中部のダナン市郊外にダナン工場(支店)が6月上旬に完成、下旬から本稼働し始めました。新工場は電極式ラインを有し、当初は月産200t程度のパン粉を生産予定です。従業員は45名で、日本人1名が駐在します。一方、本社工場従業員は85名で、日本人スタッフは2名です。
 ――ダナン工場の役割は。
 野宮 ベトナム北部と中部に立地する顧客向けにパン粉を供給します。さらに今後、オセアニアやヨーロッパ等への輸出用も担う生産拠点にしたいと考えています。これまではベトナム北部・中部向けや海外輸出向けもホーチミン市の工場でカバーしていました。これからはダナン工場と共に国内外に需要に応える体制がベトナムで整います。
 ――本社工場は稼働して10年以上になる。
 野宮 2004年竣工で、電極式と焙焼式の各ラインを有しています。生産量は現在月産400〜500tでフル稼働し、需要に応えています。ベトナムでのパン粉需要は旺盛で、特にタイでえびの早期死亡症候群(EMS)が2012年発生以降、かつてタイで生産していたえびフライ等のえび製品がベトナムやインドネシアのメーカー工場に移管され、当社へのパン粉のオーダーが急増しました。EMSの影響が和らいでも、ベトナムでえび製品の製造は増えています。
 ――ベトナムで生産する利点は。
 野宮 タイなど他国と比較した場合、人件費や原材料費が安いことがベトナムの大きな利点です。とはいえ今後、人件費が上がることやEMSといったリスクがベトナムでも懸念されます。現状、当社のパン粉はえび製品向けが主体ですが、今後は工場の生産性を高めながら、バサ、あじ、たら等の白身魚製品などに最適なパン粉供給に努めていきます。国内スーパー用小袋出荷や海外輸出を増やしていきます。現在は日本向けえびフライに使われるパン粉出荷が6割程度、韓国向けが3割程度を占めます。
 ――今後、ベトナム国内向けも有望?
 野宮 ホーチミン市中心にCVSが増えていることや、チーズ揚げなど揚げ物ニーズがベトナム人の間で高まっていること、仏領の名残でパン食・コーヒーの習慣がある等々を考えると、国内向けのニーズをまだまだ掘り下げることができると捉えています。ヨーロッパやオセアニアでもフライ品需要が伸びています。こうした動きを踏まえ、市場ごとに対応できるようグループ本社と連携しながら、開発・営業体制を一層強化していきます。

(のみや・りゅういち)乳業、缶詰メーカー(品質管理・開発部門)勤務を経て2004年6月共栄フード入社、同年12月にタイ赴任。12年12月ベトナム赴任、15年1月から現職。神戸市出身。1970年1月生まれ、47歳。