新素材ウッドプラスチックのパレット、環境対応、価格でも強い

 東京大学発のベンチャー、ウッドプラスチックテクノロジーは製材工場で生じる端材とプラスチックを混ぜたパレットを世界で初めて実用化した。剛性が高く、たわみが少ない。使用後粉砕すれば再利用でき、価格競争力もあるという。冷凍倉庫などに売り出している。

木質ペレットとプラスチックでできたエコなパレット。
価格も金属製やプラスチック製に比べ安く提供できる。
食品工場や冷蔵・冷凍倉庫業界が注目している

 ウッドプラスチックの原料は集成材の削りくずから造った木質ペレット。プラスチックの原料はポリプロピレン、ポリエチレンのバージン品を使う。原料の履歴が明らかなため、安全安心を重視する食品工場や冷凍・冷蔵倉庫向けに適している。
 プラスチックが溶けて木質の繊維内部に浸透し、セメントとコンクリートのように一体化している。
 「ウッドプラスチックは丈夫な点が特徴で、剛性が高く、たわみが少ない。私たちが行なったテストで、たわみ率はISOの2%に対して0・35%と非常に強い」(同社)という。
 価格競争力がある点もユーザーに支持されている。バイオマス資源でプラスチックを代替しているため、石油由来製品の価格高騰に対応できる。また、木製パレットに比べて寿命が長いため、トータルコストも削減できる。
 環境負荷の低減にも貢献する。プラスチック製パレットと比較してCO2排出量を35〜50%に削減でき、物流のグリーン化要請に対応できる。原料は木くずの再利用であり、ウッドプラスチックを粉砕すれば原料として再利用できる。
 同社はFOOMAに出展し、ウッドプラスチックパレットを出品。来場者に利点を呼びかける。

循環型社会への対応で高い評価

 同社の設立は2008年2月。環境負荷の小さい新素材の将来性を高く評価され、東京大学エッジキャピタルなどのベンチャーキャピタルから出資を受けている。
 行政からの評価も高く、農林水産省の助成制度を利用して、岡山県津山市に2009年、ウッドプラスチックパレットを製造する工場を建設した。
 津山市には木質ペレットを大量生産できる製材工場があり、08年夏にバイオマスタウンとして公表されている。
 「木くずのような副次生産物が有効に活用できれば、木材加工業は活性化し、林業全体の活性化・森林保護にもつながる。パレットへの実用化は始まったばかりだが、循環型社会への対応を考えているユーザーからは支持されており、事業の本格化に手応えを感じている。食品業界をはじめ、ユーザーへの認知度を高めていきたい」(同社)という。