日本水産はサントリーウエルネス��から技術供与を受け、同社のファインケミカル事業（ＦＣ）で初めてバイオ生産領域での「アラキドン酸」産生糸状菌の大型タンク培養に11月１日から着手する。
培養された乾燥菌体は「つくば工場」で独自技術により抽出・精製し、「アラキドン酸含有油脂」となる。「アラキドン酸含有油脂」は、特に乳児栄養分野で、ドコサヘキサエン酸（ＤＨＡ）やコレステロールに次ぐ第３の大型機能性素材としてグローバルに生産・販売を展開する計画。
日水は魚油から精製したエイコサペンタエン酸（ＥＰＡ）やＤＨＡを多く含む食用油脂を乳幼児用調整粉乳や経腸栄養剤、さらに、サプリメントや医薬品の原料として生産・販売しているが、バイオ生産技術の導入で得られる「アラキドン酸含有油脂」を製品ラインアップに加えることにより、ファインケミカル事業における機能性脂質事業の質的変革を図る。
同社では新中期経営計画の「新ＴＧＬ計画」（2006年〜2011年度）の中で、ファインケミカル事業における機能性脂質事業の拡大を織り込んでおり、これに沿って事業を推進する。機能性油脂事業におけるバイオ生産技術を使った新たな生産手段の獲得と乳児用栄養分野での販売を拡充するという戦略に基づき、グループ全体の競争力をさらに高めることを目的としている。
日水はグループのＦＣ事業として今期売上げ262億円を見込んでいる。
乳児栄養分野ではアラキドン酸がＤＨＡに次ぐ栄養素として評価が高まり、2007年CODEX委員会でもＤＨＡとともにアラキドン酸を乳児用調整粉乳に添加することを推奨している。日本ではサプリメント素材としても注目され、そのマーケットは急速に拡大している。
「アラキドン酸産生糸状菌」は独自菌体（モルティエレラ アルピナ）を使用。この種菌を数回の小規模前培養で増殖後、栄養源として糖類・窒素源を配合した培地を用い通気攪拌培養を行う。アラキドン酸濃度（組成）40％以上の油脂を高含有する菌体培養が特徴。
日水のつくば工場は茨城県つくば市大久保７、テクノパーク大穂内。1990年２月稼働開始した。敷地面積２万3651�屐�延床面積7673�屐�従業員35名（09年9月現在）。武富清信工場長。