一味違うフリーズドライ豆腐、菓子に新風
こいしや食品(3)

 こいしや食品(栃木県宇都宮市)はフリーズドライ化した豆腐を使った菓子などの新商品開発に着手している。製法はフリーズドライ食品の専門会社と共同開発した。菓子事業を豆腐、納豆に続く経営の第3の柱に育てたいとしている。

工場に隣接する直売所「豆水撰」

 フリーズドライの豆腐は即席の味噌汁などで使われており、水や湯で元の豆腐に戻すものが主流となっている。しかし、これでは「乾燥した豆腐をそのまま食べても味や食感が良くない」(同社)ため、様々な商品に使うには改善が必要だった。乾燥の際に豆腐の中の空洞を多くすることなどで、サクサクした食感とともに、豆腐本来の風味を残すことに成功した。
 豆腐のフリーズドライはたん白質が主体となるため、炭水化物を代替する原材料として活用できる。また、煎餅やポテトチップスのような油で揚げた食感を味わうことができるため、カロリーが低く、油で揚げた菓子のような商品を開発することができる。
 OLや主婦向けに、気軽に食べられる低カロリーの菓子素材として活用するほか、栄養価を活かして機能性食品、健康食品メーカーにも供給を計画している。粉末にして、小麦粉の代替製品として麺類やパン類に応用することも検討している。
 同社が使用する国産大豆は大半が栃木県産のため、商品化により県内生産者の収入増や県産大豆の生産拡大などの効果も期待する。この事業は国の地域産業資源活用事業計画の認定を受けている。

 2013年9月に立ち上げた新ブランド「豆結(まめゆい)」では豆腐を活用したカステラやクッキー、ラスクなどの高級路線の製品群を開発した。都内の商業施設のほか、本社工場に隣接する直売所「豆水撰」で販売している。
 この「豆水撰」では豆腐を練り込んだソフトクリームを販売。休日は行列ができるほどの人気を得ている。
 当日か前日に作った豆腐を使用。豆乳入りのソフトクリームは珍しくはないが、同社はミキサーでかき混ぜた豆腐を加えている。豆乳ほど濃厚やコクはなく、豆腐の後味がほんのりと香るという。地元の人たちに新たな“名物”を提供し、楽しませている。(シリーズ終わり)

「豆水撰」の売場の様子

 フードエンジニアリングタイムス(FEN)2015年2月18日号掲載