食品の「ものつくり」と自動車の「ものつくり」とでは、違いがあるとお思いだろうか?
大手自動車系列商社の依頼研修会で、食品担当幹部と議論したことがある。自動車部品部門から食品部門へ移動されたばかりの管理者が主張した。自動車は何万点の精密な部品をつくり、組み立てる。これこそ「ものつくり」である、という。
食品は数点の天然素材を煮炊きする単純な作業なので「ものつくり」とはいえないと発言した。
私は食品の「ものつくり」こそ製造業の元祖であると思っている。
製造業の先端をゆく自動車産業もフォードがコンベアーによる流れ作業を導入して自動車の大衆化を実現した。そのフォードシステムの源流は食品缶詰の生産ラインをモデルに開発されたことを説明し、商社管理者も納得してくれた。(次号へ続く)