画期的な出張サービスで勝負、部品洗浄ラボカー登場
業務用厨房機器大手のタニコー（東京都品川区、谷口秀一社長）は食品機械の部品洗浄に使うバブリング洗浄機とドアタイプ洗浄機を搭載した大型の「部品洗浄ラボカー」を出品する。
昨年のＦＯＯＭＡで初披露し、インパクトの強さから来場者の注目を集めた。今年も会期中は実際にラボカーを展示し、荷台で部品洗浄のデモンストレーションを実施する。３年ぶりの東京開催ということもあり、ステンレスタンク等の製造を手がけるＩＢＣ事業部の渡辺洋平事業部長代行は「関東をはじめ全国のお客様にタニコーのＩＢＣ事業をより知っていただく機会にしたい」と意気込む。
厨房機器メーカーとしての知名度は圧倒的に高い半面、同社のＩＢＣ事業部が産業用のコンテナやタンク、ドラム缶、部品洗浄機を製造していることはあまり知られていないという。今年は展示規模を拡大するとともに「展示内容もグレードアップ」（渡辺事業部長代行）し、認知度アップを図る。
訪問ニーズの掘り起こしに成功
「部品洗浄ラボカー」は洗浄機の導入を検討したいという食品工場などに直接出向き、納入前に必要な試験洗浄を無料で実施するというもので、「機械の代替機がなく、部品を外に持ち出せない」、「テスト機がある遠方まで出張するのが難しい」、「部品紛失のおそれがある」といった声を受けて2020年に立ち上げた。ユーザーの利便性が高く、競合他社も気づかないニッチ戦略と言える。
食品機械のポンプや配管、バルブの継手などはどうしても分解洗浄が必要になる。現場では１つひとつ手洗いするケースが多く、部品洗浄機による自動化のニーズは高い。特に充てん機の部品は形状が複雑で潜在需要の掘り起こしが期待できるという。
岩手県内での訪問テストの様子、製造現場の品証や購買の担当者らも実際に洗浄性を確認す
ることができる
機械部品に付着した汚れはバブリング洗浄機とドアタイプ洗浄機の連続洗浄でしっかり洗い落とす。バブリング洗浄機は槽内に搭載したノズルから出る泡径100マイクロ未満の「ファインバブル」の作用で汚れをはく離、吸着して水面に浮上し、分離する。
ドアタイプ洗浄機は上下の噴射回転ノズルで洗浄する。汚れを残さないように大量の水を使うが、循環式を採用しているため使用水量を抑えることができる。
今回は実際の設置イメージがわかりやすいように、バブリング洗浄機をこれまでのテスト用サイズから実際に現場で使われることが多い大型サイズ（層内500�弌�500�弌⇒椴�150Ｌ）に切り替えて搭載する。
ＩＢＣ事業部洗浄課の葛島和也リーダーは「昨年のＦＯＯＭＡ（愛知県開催）では数十件の引き合いをいただき、実際に訪問して２割の成約に結び付いた」と語り、多くの食品関係者が訪れる東京開催ではさらなる上積みをめざす。
ＡＧＶ専用コンテナ、寸法精度に自信
今回のＦＯＯＭＡでは、昨年に引続きＡＧＶ（無人搬送車）専用の錠剤用コンテナも出品する。村田機械の「スマートＡＧＶ ＸＩＯ(ジオ)」の仕様に合わせて設計した。
渡辺事業部長代行によれば「ＡＧＶを使ったコンテナの自動搬送をはじめ、今後より進化していく自動化設備に対応していくには高度な寸法精度が求められる。寸法にバラツキがあるとコンテナの運用に不都合が生じる」という。
タニコーは板金加工の技術力を強みとし、高精度の寸法公差要求にも対応できるほか、福島県内に工場を増設するなど量産体制を完備しており、大量ロットにも対応できる。
「スマートＡＧＶ ＸＩＯ」は自動で最短経路を算出して動くほか、複数台を同時制御できるスマート機能を搭載する。耐荷重は1000�圓埜粁舛亮�入れや商品の出荷など様々な工程で活躍できる。
渡辺事業部長代行は「こうしたＡＧＶの進化に我々コンテナメーカーも応える必要があると考え、専用コンテナを開発した」と語り、人手不足の解消や作業負担の軽減につながる搬送工程の自動化に今後も貢献していく姿勢を示す。
ブース番号は７Ｋ−23。