飲食店向けの業務用食材通販で成長
東証マザーズ上場、事業拡大に弾み
株式会社ミクリード 代表取締役社長 片山礼子氏

 個人経営の居酒屋をメインに業務用食材の通販事業を手がけるミクリード(東京都中央区)は東証マザーズにこのほど上場した。片山社長は「これを機に知名度を上げて事業拡大に弾みをつけたい」と意気込む。今後は人材紹介や送客、物件紹介などの新サービス開発を進めて、居酒屋の潜在需要を掘り起こすとともに、うどん・そば店、喫茶店などの他業態を積極的に取り込む考えを示す。

    片山社長

 「当社のメインターゲットは夫婦などで切り盛りしている個店の居酒屋。肉や魚、野菜、串・揚げ物、デザートなど4000点の商品をカタログやWEBサイトで案内し、誰に対しても平等な表示価格で提供している。

 食材の仕入れやメニュー開発などをいかにサポートするか、『中小飲食店のセントラルキッチン』をテーマに事業展開している。いつでも誰でも、どの商品でも、365日・1パックから注文を受け付けるビジネスモデルを作り上げた。
 たとえば焼き鳥盛り合わせ(5種類)1パック、下処理済みの豚バラのやわらか煮、たこぶつ100g1パックなど、中小個人経営の居酒屋が使いやすいサイズ仕様にしている。

 関東の1都3県は深夜2時までに注文を受け付け、その日の午前11時までに梱包して、仕込み時間中の午後3時までに届ける。それ以外の地域は午後3時までに注文を受け付け、夕方6時までに発送して翌日の午前中に届けるようにしている」

新システム導入でWEB受注率が伸長

 「今回の上場の主目的は知名度を上げること。当社のビジネスモデルはBtoBであるため、これまで表舞台に出ることがなかった。上場することで顧客に当社の存在を知ってもらえる。設立当初は社員9名だったが、現在は22名に増えた。優秀な人材獲得の面でも上場しているほうが信用が得られる。

 業績は堅調に推移している。今3月期の売上高は前年比3.5%増の42億円、経常利益は14.9%増の1億6000万円を見込んでいる。
 好調な要因はネット経由の受注率が上がっていること。新システムを2019年2月に稼働した。これまではクレジット決済や代引き決済ができなかったが、新システム導入で可能になった。

 さらに、従来はカタログを送付してアウトバウンド(電話営業)で顧客を獲得していたが、WEB広告を投入して受注獲得を強化した。いわば地上戦から空中戦に戦場を切り替えることで、顧客増に結び付いた。新規顧客獲得のWEB経由率は今期84%まで伸びた」

テンポスバスターズと協業

 「現在の取引客数は1カ月あたり約1万店。全国に居酒屋は12万店あり、潜在顧客は多い。うどん・そば店や喫茶店など他業態からの受注も増えおり、対象市場を広げてビジネス規模を拡大していきたい。

 そのために代理店の開拓を積極的に進めている。その一例が中古厨房機器販売のテンポスバスターズとの協業。テンポスの店舗で当社の試食会を開いたり、当社がテンポスの冷蔵冷凍庫を販売したりしている。相互に送客を図り、共に事業を拡大していく。このほか、飲食店向けに人材紹介や送客サポートを行うサービス企業、物件紹介の企業などと連携を進めている。

 我々は食品卸会社と同じ土俵で商売をする気はない。それでは価格競争になってしまう。食材を多く必要とするときは食品卸会社から購入してもらい、少量ほしいという場合に当社から買ってもらう。当社の冷凍庫を店の冷凍庫の代わりに使ってもらえればいい。飲食店のメインの仕入先になるつもりはない、スーパーサブをめざす」

(かたやま・れいこ)1965年新潟県生まれ。1988年日興証券(現SMBC日興証券)入社。1992年金型部品のカタログ販売を手がけるミスミ(現ミスミグループ本社)に転じ、2003年同社フード事業部長、2006年フード事業部を分割してミクリード設立、2007年酒類販売チェーンカクヤスのミクリード吸収合併に伴いカクヤス執行役員、2012年ミクリード社長就任、現在に至る。