ラブレ菌にIBS症状改善効果を確認

 カゴメと近畿大学医学部堺病院はラブレ菌の過敏性腸症候群(IBS)への有効性について試験し、ラブレ菌の摂取でIBSの症状が改善することを明らかにした。
 IBSは下痢や便秘を繰り返す腸の病気で、詳しいことはまだ分かっていないが、ストレスや環境、腸内菌叢の乱れが関係していると考えられている。ラブレ菌は便通改善効果と腸内菌叢改善効果があるプロバイオティクスであることが明らかになっており、同社ではIBS症状に対して効果があると考えた。そこで、小児を含む6歳以上のIBS患者に対し、ラブレ菌の有効性を明らかにするヒト試験を行なった。
 被験食品には生きたラブレ菌を製造時に100億個以上含むカプセルを、プラセボ食品にはラブレ菌を含まないカプセルを使用。 1日に1カプセルを朝昼晩いずれかの食後に摂取した。IBSの症状として腹痛の発症回数と下痢や便秘の状況(排便回数、便性状)を日誌で調査。また、便を採取し、糞便内菌叢を調査した。
 その結果、腹痛の発症回数は被験食品摂取期間では他の期間(摂取前観察期間、ウォッシュアウト期間、プラセボ食品摂取期間)と比べて少数だった。排便回数は各期間で違いはなかったが、便性状は、摂取期間内では他の期間よりも水状、ドロ状といった下痢の出現頻度が低くなり、正常な便とされるバナナ状の出現頻度が高くなった。
 「ラブレ菌を摂取した期間では、腹痛や下痢などのIBSの症状が改善している。悪玉菌が少なく、善玉菌が多い腸内菌叢に改善していたことから、ラブレ菌を摂取することで整腸作用を介してIBSの症状が改善することが期待できる」(カゴメ)という。
 ラブレ菌(学名:Lactobacillus brevis KB290)は京都の漬物「すぐき」からルイ・パストゥール医学研究センター(京都)で分離された乳酸菌。その整腸作用に着目し、研究を進めている。