技術も経営能力も育てる
日本食品機械工業会 専務理事 鈴木 芳雄氏

 日本食品機械工業会の2012年の事業活動は「活発だった」と振り返る。生徒だけではなく、“父兄”も巻き込み白熱するFOOMAアカデミーは日食工の基幹事業。このアカデミーは食品機械業界はもちろん、産業界を担う人材を育成する。

    鈴木専務理事

 ――日食工の1年の活動を振り返って。
 鈴木 大変活発で充実した1年でした。会員企業の日頃の成果を披露する展示会「FOOMA JAPAN」は日食工の活動の中でも一大イベント。今年も最新の機械や技術が集結し、来場者にも満足していただけたと思います。会期は4日間。しかし、この4日間を成功させるため、出展社は何日もかけてアイデアを練り、試行錯誤を繰り返したことでしょう。主催者の1人として、感謝申し上げたい。

 ――来年開催の出展申し込みも早々に満小間となった。
 鈴木 例年以上に早いスピードでした。展示会に対する期待の表れでしょう。来場者はもちろん、出展社にも“参加して良かった”と思ってもらえるよう、我々も今から気を引き締めています。ぜひ期待してください。また、お申し込みの希望に添えなかった皆様には陳謝するとともに、今後ともよろしくお願いしたいと思っています。

 ――開催が楽しみだ。FOOMA以外の活動の進捗状況は。
 鈴木 展示会は多くの方に披露できる活動ですが、地道な活動はたくさんあります。まずは教育事業。“FOOMAアカデミー”は日食工でも特に力を入れている活動です。毎年2月に3泊4日で開講し、食品機械製造に不可欠な“機械要素”、“食品工学”、“システム”、“制度”の4つのテーマを焦点に置いて学びます。

 ――中身が気になる。
 鈴木 かなり内容は濃いですよ。生徒は24名。泊りがけでともに学びますが、期間中寝かせません(笑)。座学ももちろん充実していますが、メインは夕食後のグループ討議です。“問題解決力育成講座”と呼び、これがアカデミーのウリです。生徒を4グループに分けて“機械に重大な不具合が生じた際、会社としてどのように対応するか”などのテーマを与え、徹底的に考えさせます。最終日に発表してもらい、グループ同士で議論します。

 ――白熱しそう。
 鈴木 生徒だけではありません。生徒を送り込んでいる会社の責任者や当会の運営委員も“父兄”という立場で参加し、意見をぶつけます。こうしたプログラムを盛り込み、食品機械業界に限らず、産業界全体を担う人材を育成します。

 ――その他の活動は。
 鈴木 食品機械の安全・衛生などの情報提供や、国内外の食品機械に関する調査を行ない、その普及活動を行なっています。タイムリーなところでは、今年7月に韓国の安全基準“K−CSマーク”に、一部ですが食品機械も適用されることが追加されました。このマークがない食品機械は韓国で流通できなくなります。来年4月1日から施行されます。
 この情報が入ってきたとき、全貌もわからないため当業界は困惑し、会員企業も“一体どうなるのか”と不安になりました。この法律を翻訳するのに必要な専用ソフトを探すのにも時間がかかりました。何とか探し出し、すぐに翻訳、11月には急きょ東京と大阪でセミナーを開催し、この法律に関する最新の情報をレクチャーしました。参加者にもご理解をいただいたのではないでしょうか。
 
 ――今後の展望は。
 鈴木 政権が変わり、国の政策が変わっても、工業会会員企業の立場で当業界の意見を行政に伝えていきたいと思います。そして、食品機械メーカーはもちろん、食品関連産業が健全な経済活動により大いに発展していくよう努力していきます。