短時間で魚の開きができる、
衝突噴流とコアンダ効果を使った連続式乾燥装置

 前川製作所はあじの開きやみりん干しなどを短時間で高品質に乾燥させる連続式冷風乾燥装置「ドライジャック」を2月末から発売開始した。従来のバッチ式乾燥装置に比べ10分の1から4分の1の短時間で干物に仕上がる。あじ、ほっけ、赤魚などの開き干物の場合、乾燥時間はわずか10〜30分ですむという。しかも連続式なので製造のライン化が実現でき、省人化にも威力を発揮する。
 この急速乾燥技術は、急速凍結装置「サーモジャック」で実績がある衝突噴流の技術を応用した。超高速の冷風を強く当てて、対象物を覆っている空気の膜を吹き飛ばすことで、熱交換の効率を飛躍的に高める。さらに、対象物の表面に沿って空気が流れる「コアンダ効果」のノウハウも応用している。
 冷凍機と異なり、ドライジャックは+25℃の乾燥した空気を使うが、効率よく水分を奪うのは、温度を奪うサーモジャックと同じ理屈といえる。
 連続式なので従来のように乾燥室に搬入・搬出したり、セイロを積み上げたりという作業がなくなり、省人化やHACCP対応にも効果を発揮する。
 商品価値も向上する。食品メーカーが実際に使用したところ、「鮮度が良い」、「風味が飛ばない」、「ドリップが出ない」といった効果が認められたという。
 一般に、近年好まれる干物は水分が多く、乾燥後に凍結保存する場合が多い。ドライジャックと連続凍結装置を連続させてライン化すれば、さらに省人化やトータルの省エネ効果、衛生管理の向上などが期待できる。
 1台約4000万円。初年度10台の販売を見込む。同社では広島工場で製造テストも受け付けている。

 広島工場に設置したドライジャックのテスト機