神戸物産グループ初の鶏加工場
グリーンポートリー(1)

 グリーンポートリー(岡山県苫田郡鏡野町)は神戸物産グループが「食の製販一体」を強化するため、2011年11月に設立した鶏肉や鶏肉加工品の製造工場。自社で餌から飼育方法までを徹底管理して飼育したブロイラーを加工し、新鮮なうちに消費者に届けている。

グリーンポートリーの外観

 同グループが展開する「業務スーパー」では、これまで国内外から調達した鶏肉を販売していたが、自社が国内で鶏肉を生産し、販売を手がけるのは初めて。民事再生法の適用を申請していた(有)岡山県ブロイラーの事業と施設を引き継ぎ、生鳥の飼育、鶏肉の生産、加工、販売に向けて施設の改修を進めてきた。昨年5月には、地域雇用、環境対策などの点で鏡野町と企業立地協定を締結している。
 飼育する鶏は英国のチャンキー種。自社農場は岡山県内に12農場あり、飼育羽数は年間400万羽、今後も県内・県外に農場を新設・増設し、飼育羽数も増やす見通し。
 処理羽数は1日1万5000羽ほど。最大2万2000羽まで処理できる設備と機器を新たに導入した。 加工設備も最新の機器を導入している。

当日処理した鶏を新鮮なまま販売先へ届ける

 その日処理した鶏を新鮮なまま当日、あるいは「D+1」で販売先へ届けることを徹底している。
 出荷時間は当日12時までの朝びき鶏をフレッシュな冷蔵の状態で広島県から近畿エリアの販売先に供給し、販売先では当日処理された鶏肉を生の新鮮な状態で販売することが可能となった。流通経路の省力化にもつながり、価格は通常の国産鶏肉より1〜3割安く設定できるという。
 冷凍品は当日処理した鶏肉をそのまま急速冷凍。鶏肉では日本初のグレース加工(氷膜凍結)を行なっている。新鮮なまま急速冷凍するので、解凍してもドリップ臭がなく、緩慢凍結品やチルドフローズン品と比較しても、肉厚で食感も良く、冷凍焼けが非常に少なく、鶏の本来の旨味が楽しめる。

加速する“製販一体”

工場内部は全面的に改修し、衛生度を高めた

 神戸物産は12年10月期の連結売上高1574億円、経常利益47億1000万円。全国に「業務スーパー」622店(昨年末現在)を展開している。
 「日本最大の六次産業」を標榜し、食品製造業や農畜産業に進出。北海道の「エコグリーン北海道」では大豆、ナガイモ、ジャガイモなどを栽培。宮城県石巻では底引漁船を購入して漁業を始めた。漁獲物を自社加工する冷凍加工場を石巻市内に建設中。  今回の鶏関連事業につき、同社では「“製販一体”のグループ企業である当社が“設計図”を描き、グリーンポートリーでその設計図に従い、安全安心を徹底したオリジナル商品を製造する。一次産業、二次産業の中枢の役割を担っている」とし、今後本格化するフル稼働に向け、意欲を燃やしている。