(一社)日本冷蔵倉庫協会(日冷倉協)の細見典男会長(日本水産社長)は年末会見を2日都内で開き、今年の冷蔵倉庫の概況について「荷動き等の動向は悪いと言えないが、良くもない」と総括した。
左から3人目が細見会長
首都圏については「東京団地冷蔵の建て替えに伴い、昨年から在庫率が高い状態が続いていたが、夏以降は在庫が徐々に減少し、現在は庫腹にやや余裕がある」とし、その要因の1つとして「チリ銀(チリ産銀鮭)の搬入がまだない」ことを指摘した。
さらに「関西地区については貨物増で一定水準を保っている。北海道は農産物の被害をはじめ、さけやいか等の漁獲不振で厳しい」と説明した。
冷蔵倉庫維持のためのコストにも触れ「電気料金の一部である燃料調整額の下落が、原油価格の再高騰により上昇に転ずると思われることに加え、人手不足とそれに伴う賃金上昇などが問題となりつつある。料金転嫁などの対策が必要になるはず」と語った。
さらに「電力市場全体に競争原理が働く環境になるよう望む。事業実態に合った電力をいかに安く安定的に導入していけるか、協会として情報収集をさらに進めていく必要がある」との認識も示した。
細見会長は11月22日早朝発生した福島県沖を震源とする地震を話題に取り上げ「久しぶりに大きな揺れを感じ、東日本大震災以来、潮流が目に見える速さで川を流れる様子をテレビ中継で見た」と語り、「災害は忘れた頃にやってくる。冷蔵倉庫は国民の食料の安定確保と食の安全安心の確保という社会的役割を担っている。災害時の対策と事業継続に注力し、重要な役割を果たしていくため全力を傾注する」と決意を表明した。
トランプ政権移行後の米国経済政策やTPP(環太平洋経済連携協定)発効の見込みが不透明感を増していることにも言及し「荷動きに与える影響を注視していく」と語った。
会見には総務委員長の河合弘吉河合製氷冷蔵社長、業務委員長の西願廣行フリゴ社長、環境・安全対策委員長の松田浩ニチレイロジグループ本社社長、税制補助金特別委員長の大石竜司アイセン社長も同席し、担当部会の進捗状況をそれぞれ説明した。