スープ・ソースは高齢化社会で有望に
中期50億円増収へ、人材育成も図る
キスコフーズ（久世グループ） 代表取締役社長 久世 真也氏
久世グループは1934年、創業者の故久世福松氏が東京池袋でトマトケチャップ、ウスターソースの製造を始め沿革スタートした。ソース・スープの製造販売を営むキスコフーズが、同社グループの原点を引き継いでいる。昨年７月、現職に就いた久世真也氏は創業者の孫。遺志を継ぎ、増収へ攻勢をかけている。
久世社長
――久世の常務も兼任し多忙では。
久世 スケジュールの大半はキスコフーズの関連業務です。昨年７月に社長就任以来、計画立案や対外業務に追われました。ようやく今月から、作業着を着て現場に立ち、計画の“肉付け”、社員とのコミュニケーション強化を図ります。コスト削減の一方、中期50億円増収の計画です。
――商品に可能性があるということ？
久世 スープ・ソースは、より一層高まる健康へのニーズに対応できるうえ、高齢化社会でこそ非常に評価されるカテゴリーです。顧客の声を生かしながら、様々な商品バリエーションを出したいと考えています。
――久世76年の歴史は“メーカー”から始まった。創業者との思い出もあるはず。
久世 子供の頃、会社にも時々遊びに行きました。祖父からは、戦争の悲惨さや商売における信用の大切さなど様々な話を聴かされました。ですが、祖父の会社を継ごうという意思は20代後半まで全くありませんでした。大卒後はエームサービスに入社し、ソニー本社の社員食堂の厨房で４年ほど働きました。
――ソニーで何か刺激はあった？
久世 同社が国際的な会社であったため、「これからの時代は国際的な感覚が必要」と考えるようになりました。また、将来はアメリカで働きたいとの思いを抱き、当時の上司に留学したい旨を伝え、了承を得ました。貯金を元手に、アメリカに留学しました。黒人牧師の営む施設などに滞在しながら語学習得に努めました。2001〜02年の頃です。
――会社を手伝う決心はいつ。
久世 もっとアメリカで勉強をしたかったのですが、会社（久世）から声をかけてもらいました。祖父の興した企業で精一杯頑張ろうと決意を固め帰国し、正式に入社しました。物流現場に配属後、同業他社で営業職を１年、その後は会計事務所に転じ４年間、給与計算や税務申告、事業再生等の実務を担いました。久世でのキャリアはその後です。
――現在の立場での目標は。
久世 私も含めた人材育成が、グループ全体の最重要課題です。連結売上高の目標は1000億円ですが、この数字も次世代にとって現実的だと思います。商品力、提案力、物流力の向上へ、1000億円との高い目標を設定することで真剣になり人材も育つはず。そのためにも、自ら現場に出て常に学ばなければならないと考えています。
（くぜ・しんや）2009年６月�蟲彑い両鑢魁�10年７月からキスコフーズ社長を兼務。東京経済大経営学部卒。1972年（昭和47年）９月生まれ、38歳。東京都豊島区出身。
フードエンジニアリングタイムス 2011年３月２日号掲載