自然冷媒の「空気」で超低温冷蔵庫
前川製作所「パスカルエア」、深澤冷蔵が導入
前川製作所は−50℃以下の超低温領域を作り出す空気冷凍システム「パスカルエア」を開発した。自然冷媒である空気を用いた業界初の抜本的地球温暖化対策済みプラント。従来比で最大50％の省エネになる。
パスカルエア１号機を導入したマグロ冷蔵倉庫会社、深澤冷蔵（静岡県焼津市、深澤喜三郎社長）に取引先と報道関係者を招き、発表会を26日開催した。前川製作所の中章会長と深澤社長が「パスカルエア」導入の意義について説明。新しい冷蔵倉庫は11月30日の竣工式を経て、12月１日から本格稼働した。
同社はこれまで地球環境にやさしい水、アンモニア、二酸化炭素、炭化水素系ガス、空気を“冷媒”に用いた「ナチュラルファイブ計画」に取り組んできた。中会長は「究極の自然冷媒である『空気』を用いて超低温領域（−50〜−100℃）」を創り出すのが夢だった。画期的な空気冷凍システム『パスカルエア』で、ナチュラルファイブ計画の“最後の空白領域”を埋めることになった。エアを冷媒にして冷やす理論はこれまでもあったが、いくつかの課題があり、なかなか実現しなかった。今回、当社が一歩前に出ることができたのも深澤冷蔵さんの英断のおかげ」と語った。
深澤社長の挨拶の後、東京大学生産技術研究所の山本良一教授が講演。世界的な湖の縮小や、氷河の消滅など、地球温暖化による恐るべき実態を詳しく説明し「このまま地球温暖化を放置すれば地獄になる」と強調。世界が対策に動き出したことを示し、「温室効果ガスの対策は大方針が示されたが、遅れているのはフロン対策。エコ製品が売れに売れて仕方がないという状況を作らないといけない。パスカルエアはまだ焼津で６台導入されたばかりだが、年間で100台、1000台と普及させる必要がある。今回の初導入は我々にとっても胸のすくような思いだ」と述べた。
「パスカルエア」のメリットは次の５点。
�｜狼經超�保護の熱心な企業イメージをアピール
�⊇祥菷羣蚤�50％の省エネ、ＣＯ２排出量削減が期待できる
�Ｎ簀泙龍�気は従業員･地域住民に安全
�だ瀏�費･運転費を節約
�ニゝ�制の適用外
参加者は「パスカルエア」の実物を見学するとともに、「パスカルエア」による−60℃以下の超低温を体験した。
空気冷凍システム「パスカルエア」