味の素は辛くないトウガラシの新規成分であるカプシエイト類の機能研究を進めてきたが、ジヒドロカプシエイトの摂取により食事接取後の「熱産生」が増加することをこのほど明らかにした。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のＤａｖｉｄ Ｈｅｂｅｒ博士との共同研究により、米国で肥満者を対象にダイエット下のエネルギー代謝量の影響を試験した。
ヒトのエネルギー代謝は“基礎代謝”、“食事接取後の熱産生”、“身体活動によるエネルギー代謝”に分けられる。これまでの国内外の試験結果から、カプシエイト類を４週間連続摂取すると、基礎代謝量を１日約50ｋｃａｌ増加させることがわかっていた。一方、米国でも肥満治療や肥満予防策の１つとして食事による体重管理に注目が集まっているが、今回、４週間にわたる超低カロリーダイエット（食事制限）とジヒドロカプシエイトを併用し、減量する時の“食事接取後の熱産生”への効果を検討するため、以下の試験を実施した。
�￣嫋�プロテイン食を活用し、１日の摂取カロリーを800ｋｃａｌ（プロテイン120ｇ）に抑える。
�▲瀬ぅ┘奪罰�始から４週間目（28日目）に朝食として400ｋｃａｌ・プロテイン60ｇを食べた後、エネルギー代謝量を測定。その方法は液状プロテイン食にジヒドロカプシエイト[３ｍｇ、９ｍｇ]を加えたもの、もしくはプラセボのいずれかを４週間摂取。
試験した33名（プラセボ：９名、ジヒドロカプシエイト３ｍｇ：11名、同９ｍｇ：13名）の結果解析から、プラセボ群と比較してジヒドロカプシエイト摂取群で４週間目の“食事接取後の熱産生”の有意な増加がわかった。その増加はジヒドロカプシエイトの摂取量に依存して大きくなった。また、「呼吸商」はプラセボ群で食事後に上昇が見られたが、ジヒドロカプシエイト群でその上昇は見られなかったため、ジヒドロカプシエイト群で脂肪をより消費している可能性を示している。
今回の研究でジヒドロカプシエイトが４週間にわたる超低カロリーダイエット下での“食事接取後の熱産生”を増加させ、「呼吸商」の上昇を抑えることが明らかになった。これにより、カプシエイト類が基礎代謝量を増加させることに加え、“食事接取後の熱産生”も増加させることが新たにわかり、カプシエイト類が体重管理に有用であると判断した。
“食事摂取後の熱産生”とは、食事を摂った時に上昇するエネルギーのこと。食事を摂ると体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費される。そのため、食事後は安静にしていてもエネルギー代謝量が増える。
“呼吸商”とは、体の中で栄養素が分解されてエネルギーに変換するまでの酸素消費量に対する二酸化炭素排出量の比率のこと。栄養素によってその比率が変わるために、体の中でどの栄養素が使われているかを表している。この値が低くなると、脂肪がより使われていることになる。