三菱重工業の子会社で、食品包装機械の製造を手がける三菱重工機械システム(神戸市、小嶋聡社長)は2段殺菌方式を採用したペットボトル飲料向け無菌充てんシステムを国内飲料メーカーの製造工場に納入した。すでに今年3月から稼働している。
ボトル成形前のプリフォーム(原形)を殺菌し、成形後のボトルを再度滅菌する2段方式で、飲料を加熱することなく、常温で無菌充てんすることができる。事前にボトルを滅菌しない「ホット充てんシステム」は飲料を加熱充てんすることで容器内面を殺菌する。2段殺菌方式は、このホット充てんに比べて、飲料自体の熱履歴(温度変化の履歴)が少ないことから風味が劣化しにくい。常温で充てんできるため、容器の薄肉化・軽量化にもつながる。
国内飲料メーカーの製造工場に納入した2段殺菌方式の無菌充てんシステム
さらに、従来のボトル殺菌方式と比較して設置面積を30%縮小し、滅菌薬剤使用量を25%削減したほか、無菌エアによるすすぎ工程を実現したことで無菌水を不要にするなど、製造時の薬剤と水の使用量を大きく減らした。
三菱重工機械システムによれば、ペットボトル飲料を生産する国内工場の約80%で無菌充てんシステムが採用されているという。新型の2段殺菌方式はこれまでに国内飲料メーカーが国内外の工場に2台導入しており、今回が3台目となる。同社は「次世代の無菌充てんシステム」として国内外で提案を強化する。