2017年の飲食業の倒産件数は2割増

 東京商工リサーチは2017年(1〜12月)の飲食業の倒産状況を昨年12月29日現在の速報値で発表した。調査対象は食堂・レストラン、専門料理店、居酒屋などの酒場・ビヤホール、喫茶店、宅配飲食サービス業、持ち帰り飲食サービス業など。
 それによると、倒産件数は762件で前年の639件から19.2%増で推移し、3年ぶりに750件を上回った。業種全体の倒産件数が低水準で推移する中、2年連続で前年を上回った。
 負債総額は416億6500万円(前年比23.7%増)で2年連続で前年を上回った。負債10億円以上の大型倒産が前年と同じ4件だった一方で、負債1億円以上5億円未満が74件(同48.0%増)と大幅に増加したことが影響した。
 ただ、全体では負債1億円未満が677件と9割を占め、小規模企業倒産がほとんどを占めている。
 業種別では日本料理、中華料理、フランス料理などの「専門料理店」が最多の203件(同13.4%増)。次いで「食堂・レストラン」の200件(同34.2%増)、「酒場・ビヤホール」が115件(同35.2%増)、「喫茶店」が59件(同34.0%増)と前年からの増加が目立った。宅配ピザなどの「宅配飲食サービス業」は42件(同7.6%)、持ち帰り弁当店などの「持ち帰り飲食サービス業」は23件(同27.7%増)だった。
 主な大型倒産では、ステーキ店「KENNEDY」を都内中心に27店舗展開していた(株)ステークス(東京、負債13億8000万円)、ピザ専門店「NAPOLI」などを展開していた(株)遠藤商事・Holdings.(東京・同12億7000万円)、宅配ピザ店「10・4(テン・フォー)」を展開していた(株)オーディンフーズ(北海道、同7億円)など。
 東京商工リサーチは倒産要因として仕入価格の高騰や人手不足による人件費増加などのコストアップを挙げている。さらに、景気実感の乏しさを背景とした個人消費の鈍さが飲食業にも大きく影響し、「倒産は今後も増勢が懸念される」としている。

   飲食業の倒産件数は2年連続で増加している