東京トラックショー
ポスト新長期排ガス規制を視野に環境対応の提案目立つ

 東京トラックショーが東京ビッグサイトで29〜31日開催された。131社(前回174社)が出展した中、低温物流に欠かせない車両と関連技術も多数出品された。来年9月1日から継続生産車にもポスト新長期排ガス規制が施行されることもあり、環境対応をポイントに車両や製品、技術を提案する企業が全体的に目立った。

 トヨタ自動車は車両ハイブリッドシステムと連動した本格電動冷凍機搭載の「次世代アイドルストップ冷凍車」を展示した。ハイブリッドバッテリーからの電力供給で電動コンプレッサを駆動することにより、省動力・省エネを追求した。薄型ユニット冷凍機エジェクタタイプと車両・冷凍機の協調制御で動力を低減し、省エネでも力強く庫内を冷却する。

 三菱重工業は世界初のディーゼルエンジン式ハイブリッドフォークリフト「グリンディア ハイブリッド」を展示した。このハイブリッドシステムは三菱重工独自のリチウムイオン電池と高効率モーター、新排ガス規制クリアの小型ディーゼルエンジンを組み合わせたもので、優れた環境・燃料性能を実現する。

 矢野特殊自動車は新開発車両3台を出展した。そのひとつが長持ち冷凍車「ロングライフボディ」で、定温物流企業のランテックと共同で展示した。ボディに木材を一本も使用していないウッドレスボディ車両。ドア芯材は腐食しにくい樹脂製、底板はFRPで融雪剤等による腐食を軽減する。こうした各部構造が長寿化を可能にした。ボックスとシャシ配線は簡単に接続でき、また、歪みやすい箇所だけを簡単に取り替えられる構造で、再架装しやすい。車両耐用年数が経過しても、最小限の時間と費用でボディを再び、新車に搭載することができる。リユースすることで、省資源にも貢献する。
 また、従来の車両よりもT11型パレットを2枚多く積載できる大容量冷凍車「プラスツー」を展示した。輸送効率を高めることで、環境負荷も低減すると見本車両で訴求した。庫内長が10mのロングボディ。T11型パレットの18枚輸送量(縦列に9枚)は常温輸送用車両では存在していたが、低温輸送用では例がないという。冷凍機は菱重コールドチェーンの軽量でコンパクト、低騒音のサブエンジン式を採用した。

 菱重コールドチェーンは自社小間で、来春発売予定のサブエンジン式冷凍ユニット「TU100SA」を展示した。業界で最小・最軽量でありながら、優れた冷凍性能を持つ。加えて、業界トップクラスという低騒音、省燃費を実現した。

 福岡運輸は国産第1号機械式冷凍車を場内展示し、注目を集めた。この冷凍車は同社創業者の富永シヅ氏が矢野特殊自動車や日産ディーゼル工業と協力して作り上げ、昭和33年に実用化した。

 日本フルハーフは温度管理車の中型冷蔵ウイング「フルハーフ ウィングエース クール」を参考出品した。独自の新しい特徴として、コンテナ内部の高さが2300mmと上に大きく広がったこと、自社開発した冷凍機を搭載したこと、330kg軽量化したことなどが挙げられる。この際立った特徴を来場者に強調して伝えた。
 また、中型クラスの車両に対応する「全自動フルゲートフォルダー」も参考出品した。スイッチ操作で簡単にフロアプレートを展開も床下格納もできる。ドライバーの負担が軽減するうえ、作業効率も高まる。

トヨタ自動車の次世代アイドルストップ冷凍車