地域農業の潜在力を冷凍技術で引きだす
飛騨産ほうれん草などを自社工場で冷凍加工
ミチナル
地場野菜の冷凍加工等を行うミチナルは、岐阜県高山市内の自社工場（2016年４月竣工）で飛騨地域産野菜の冷凍加工などを行っている。高山市はほうれん草生産量が市町村別で日本一だが、規格外品や端材も多いという。これを同社が集荷し、時短料理に便利なＩＱＦ冷凍ほうれん草に仕上げている。同社の山下喜一郎代表取締役は「規格外品や端材といえども、味や品質は正規品と遜色がない。かつては破棄するしかなかったが、当社工場で“端財”に加工している」と説明する。
工場外観、手前部分が増設エリア
冷凍ほうれん草で機能性表示食品を開発
“端財”に仕上げた代表的な商品が今月発売した飛騨地域産ほうれん草100％使用の市販用凍菜「ルテイン ルンルン ほうれん草」（100ｇ）。同社初の機能性表示食品。地域農業の潜在力を冷凍技術で引き出した。機能性冷凍ほうれん草の「ルテイン ルンルン ほうれん草」は１袋で１日分のルテインを10ｇ摂取できる。黄色色素のルテインは網膜の黄斑色素を増やし、光の刺激から目を保護する。この成分含有度が高いことを岐阜県食品科学研究所が実証し、消費者庁が機能性表示食品と認可した。
このほか、既存品に市販用「飛騨・美濃産おいしいほうれん草200ｇ」、業務用「同１�圈廖◆崙�10�圈彭�があり、ユーザーをつかんでいる。
機能性表示食品の市販用凍菜「ルテイン ルンルン ほうれん草」
洗浄機増強や異物除去装置を新規導入
山下代表取締役
ほうれん草の入荷数量は、工場竣工の４年前が約３ｔ、昨年は約８ｔと２倍以上になった。需要に合わせて2017年９月に工場を増設した。洗浄機増強や異物除去装置の新規導入を行うなど、供給能力や安全性等を高めた。
一般的な冷凍ほうれん草は加工用の栽培品を原料に使うが、ミチナルの商品は生鮮出荷用ほうれん草で、鮮度の高い外葉を使い、同社工場の最新設備でＩＱＦ凍結している。
集荷したほうれん草は工場で冷蔵保管後、異物を除去するため専用機を活用するほか、人の目と手で選別を繰り返す。選別後に洗浄を１次、２次、３次と３回、洗浄方法を変えて行い、土砂を落とすほか、細菌数を減らす。その後、自動選別機にかける。超高速カメラと赤外線で異物を識別すると、エアーショットで吹き飛ばす。カット、選別後にブランチングし、加熱殺菌を行う。
冷却、脱水、バラシ、再度の選別を経て、急速凍結する。超低温のトンネルを通過後、さらに選別し、金属探知検査を行い、計量、包装、Ｘ線検査、重量検査、梱包、冷凍保管の流れになる。出来上がった製品は抜き取り検査し、汚染がないか、食感はどうか等を確かめる。良品のみを出荷する。
異物除去機で振り分けできなかった異物を人の手と目で選別する
洗浄方法を変えて３回水洗いする
超高速カメラと赤外線で識別し、エアーショットで異物を吹き飛ばす
ブランチングで加熱殺菌
惣菜類や肉まん等の製造ラインも
ほうれん草の加工ラインのほか、惣菜類や肉まん等の製造ラインもある。包餡機やホイロ、スチーマー、ニーダー、リキッドフリーザー、トンネルフリーザー等の機器設備を生かし、冷食等のＯＥＭ生産も請け負っている。
ミチナルは業務用食品卸、山一商事（山下喜一郎社長）の関連会社で、2015年11月、十六銀行らパートナー企業と設立した。