辻調グループは辻調理師専門学校と辻製菓専門学校の留学生を対象に昨年10月実施した調査結果を発表した。卒業後の進路や学びたい料理・菓子などについて聞いた。コロナ禍でも日本での就労を希望する留学生が半数を超えた。
留学生は2校合わせて374名が在籍する。このうち日本料理や西洋料理、中国料理が学べる辻調理師専門学校は220名、洋菓子や和菓子、製パンなどが学べる辻製菓専門学校は154名いる。韓国、中国、台湾の順に多い。2020年度は新型コロナの影響を受け、全学生がそろって授業を再開したのは9月に入ってからだが、入学延期や休学申請した留学生は50名にも上ったという。
今回の調査はWEBアンケートで行い、311名から回答を得た。卒業後の進路希望を聞いたところ、「日本で働く」と回答した学生は54.7%となり、「自国に帰って働く」の36.3%を大きく上回った。
理由として「日本の文化を理解してもっと技術を身に付けたい」、「日本で経験を積んで自国で店を開きたい」、「日本の飲食店の経営を学びたい」などが挙がった。
一方、帰国を選択した学生については新型コロナの感染がいまだ広がっていることが影響したとみられる。
日本で学びたい料理・菓子のジャンルは「日本料理」が41.2%で最も多く、辻調グループによれば「年々人気が高まっているように感じる」という。
学びたい理由として「一皿で料理人の心を伝えられる料理だから(韓国)」、「盛付けや食材の味を活かす考え方を学びたい(中国)」、「初めて会席料理を食べた時にとても感動したから(メキシコ)」などが挙がった。
学びたいジャンルの2番目に多かった「洋菓子」(26.6%)については「日本は技術が高く、日本風の洋菓子に興味があるから(タイ)」、3番目に多かった「西洋料理」(14.5%)については「日本特有のフレンチが学びたくて(韓国)」などが理由に挙がった。
留学生たちは日本での就労ビザを獲得するため、在学中に「技能測定試験」を受けながら就職活動を進め、日本人学生と同様に内定を獲得している。一方で「外国人に対して差別なく人材を採用してほしい」と願っているが、実際は就労ビザの取扱いについて業界の理解度が低く、受け入れ環境が整っていないという。
辻調グループは「(コロナ禍で)大打撃を受けている飲食業界の状況が明るくなれば、日本人学生と変わらぬ技術と知識を持ち、語学能力の高い留学生の就労門戸が広がることを期待したい」としている。