主な冷凍冷蔵庫メーカーの2021年度の業績はコロナ禍からの回復傾向が鮮明になった。量販店の設備投資が堅調だったほか、テイクアウト・デリバリーへの業態転換を設備面で支援したことなどが奏功した。一方で2022年度は感染再拡大や原材料費の高騰など下振れリスク要因が残るとして、各社とも控えめな予想となった。
中野冷機の2021年12月期の売上高は前期比15.4%増の326億600万円、営業利益は62.6%増の19億3900万円、経常利益は59.7%増の20億5400万円、純利益は54.1%増の14億600万円と増収増益だった。売上高はコロナ前(2020年12月期)を超え、利益も同水準に戻した。
主要顧客のスーパーで店舗改装の需要が好調だったことに加え、物流センター向けの大型案件の売上げが順調に推移した。コンビニ向けも堅調だった。
海外事業はメインとなる中国で積極的な営業活動を行った結果、売上高は前期の実績を上回ったが、利益は原材料の高騰や競合他社との価格競争が響き、営業損失となった。
2022年12月期はコロナ感染の再拡大による市場環境の変化に加え、原材料費の高騰や半導体不足が続くことの影響を踏まえ、売上高は297億円(前期比8.9%減)、営業利益18億円(同7.2%減)と予想する。
ホシザキの2021年12月期の売上高は前期比15.2%増の2744億1900万円、営業利益は35.1%増249億3100万円、経常利益は78.9%増の311億6500万円、純利益は89.5%増の216億7900万円と大幅な増収増益を達成したが、コロナ前の水準には届かなかった。
国内市場は主力製品の冷蔵庫や製氷機、食器洗浄機の拡販に加え、テイクアウトやデリバリーへの業態転換を支援したことが奏功した。海外は経済回復に伴う飲食店の需要拡大で、売上げ、利益ともに大きく伸ばした。
米国市場は冷蔵庫やディスペンサ、食器洗浄機が好調だった。売上高は前期比31.2%増の611億1200万円。セグメント利益は15.0%増の164億8000万円。
欧州、アジア市場は子会社のWestern社(インド)のディープフリーザーがスーパー向けで好調に推移した。売上高は前期比46.6%増の394億5600万円。利益は193.6%増の34億4400万円。
2022年12月期はコロナ感染拡大の収束がいまだ見通せないことに加え、原材料費の高騰や部品供給の制約が続くとして、売上高は前期比5.7%増の2900億円、営業利益は6.3%増の265億円を予想する。コロナ前の2019年12月期の売上高は2901億円だった。
大和冷機工業の2021年12月期の売上高は前期比10.5%増の439億7500万円、営業利益は24.3%増の62億6600万円、経常利益は25.8%増の61億2800万円、純利益は15.2%増の36億1000万円と増収増益で、売上高、営業利益、純利益ともコロナ前の水準を上回った。
主要顧客の外食業界が厳しい中、電解次亜水生成装置や食器洗浄機、自動スライド扉冷蔵庫などを提案し、感染症対策のニーズを獲得した。このほか、スチコンを使って厨房内の省人化・効率化を提案したり、急速凍結庫と真空包装機との組み合わせで食品の長期鮮度保持ができることを提案するなど、店舗運営のサポートが受注増に結び付いた。
2022年12月期も引き続きテイクアウト、デリバリーの導入支援や新調理システムによる効率化を提案する。売上高は前期比0.8%%増の443億5000万円、営業利益は6.2%減の58億8000万円を見込む。これは今期の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)を適用したためで、2021年12月期の会計基準に照らせば増収増益となる。