ドリップが出ない解凍庫に、海外も注目

 日本プレハブ冷熱は台湾のマグロ加工業者から主力の解凍庫を受注した。加工場は今年春から夏をめどに稼働する。同社はこれを機に解凍庫の海外展開を加速させる。

ラボ室では、解凍庫を試運転し、解凍
した食材を確認することができる

 同社が開発した「Mi・Fi解凍庫」は解凍庫内の全壁面にマイナスイオンと遠赤外線を常に継続して発生放射するセラミック板を装着している。庫内には加湿装置や冷却装置、エアーブラッシング循環ファンを稼働させて温度など庫内の解凍条件をコントロールし、遠赤外線を放出する環境を作り出している。
 マイナスイオンは庫内の水分子を細分化する。細分化された水分子(マイクロミスト)は冷凍まぐろに霜となって付着する。この霜は通常の霜に比べて熱伝導が数倍向上している。
 冷凍まぐろの表面全体に付着したマイクロミスト霜は循環ファンにより、風量の当たりの強弱を調和し、高い熱伝導を利用して表面全体をムラなく解凍できる。
 遠赤外線が冷凍マグロの芯部から解凍し、マイナスイオン作用は表面全体を解凍する。芯部と表面部を同時に、均等に解凍することでマグロの細胞破壊を抑えることができ、ドリップを出さない。
 同社の本社内には解凍庫を試運転できるラボ室を設けているが、台湾からの視察団が昨年末訪問し、マグロ加工業者が注目した。「ドリップを出さずに解凍する様子を間近で見ていただき、大変驚いていた。すぐに導入する意向を示してくれた」と嶋洋治社長は語る。
 嶋社長は建設中の台湾の加工場に今年2月訪問。「マグロだけでなく、台湾近郊で獲れる他の魚にも活用したいという。工場はもうすぐ完成するが、本格稼働すれば、台湾の人たちに今まで以上においしい魚を食べてもらえるに違いない」と期待を示している。