岩原社長(左)と栗原副社長
ニチレイロジグループが40%出資するマレーシアの低温物流企業「NLCCN」は保管・運送とも安定的な稼働を続けており、事業は順調に伸長している。事業構成比は保管6割、運送4割。同社の岩原功一社長は「物流センターの稼働率を高めるほか、運送事業についてもさらなる伸長をめざす」と方針を示す。さらに「今後は積極的に、マレーシアのコールドチェーン発展に貢献出来るよう取り組みを図りたい」と語る。
NLCCNの低温物流センター「Puchong Distribution Center」(PDC)はマレーシア中西部に位置し、クアラルンプール国際空港と首都圏のほぼ中間地点に位置する。ハラル物流専業の強みを有しており、庫腹約4万tで、保管能力は同国営業倉庫第3位。保冷配送車両28台(2019年11月現在)を保有する。
岩原社長は「保管と輸配送ともにハラル認証を取得している企業は当社のみであり他社との差別化につながる」と説明する。認証機関はJAKIMであり、2010年に同業他社に先駆け同国物流企業で初めて取得した。
低温物流センターのPDCはマレーシアで低温物流事業を手掛けるCold Chain Network(CCN)が2008年に竣工。ニチレイロジグループはCCNに2018年出資(40%)し同国の低温物流事業に参入し、同社にとってはタイに続くASEAN進出国となった。
社名を昨年1月からNLCold Chain Network(M)SDN BHD(NLCCN)に変更し、ニチレイロジ(NL)グループであることを鮮明に打ち出した。
NLCCNの低温物流センター(PDC)はニチレイロジグループがセンター運営を担っている。全従業員数は137名で、マレーシア人が最多。日本人スタッフは岩原社長と栗原昌和副社長の2名。岩原社長は「従業員とのコミュニケーションは英語が中心。親日的で日本ブランドへのイメージも良く、事業環境は恵まれている。今後も物流品質をさらに高めていきたい」と意気込みを示している。
PDCは平屋建てで、パレット収容能力2万28枚。F級やC級の庫内に6段積み固定ラックを設置し、効率よく貨物を収容している。
庫内は16室。4室をF級、5室をC級、2室をFC兼用と設定するほか、5室を低温荷捌きスペースとしている。入庫バース20、出庫バース19のいずれにもドックシェルターを取り付け、倉庫内部の冷気の漏洩を防止、物流品質向上に注力している。
PDCをメーカーや卸、輸出入業者、小売業者など幅広い寄託者が活用している。受託貨物は畜肉や乳製品が中心であり、ハラル専業のため豚肉やアルコールの取扱いは実施していない。また、保管と輸配送事業以外にも、流通加工業務として、野菜の下処理を請け負っている。
庫内で使用するパレットサイズは1.0m×1.2mタイプであり、日本国内のニチレイロジグループ拠点と同サイズである。
28台の保冷配送車の内訳は40ft(パレット収納枚数20枚)の大型車13台、10t(同12〜14枚)の中型車5台、3.5t(同6枚)の小型車10台。中型と小型の車両を増やす計画。
「マレーシアの市場では、川下物流の効率化が課題と考えている。共同配送の提案を進め、事業領域の拡充をめざす」(岩原社長)。
マレーシアは中西部に大手食品メーカーの工場やセントラルキッチン、輸入業者などの拠点が集中しており、取扱物量もそれに伴い高まりがみられる。一方で、北部や南部の遠隔地への商品の輸配送は運送コストの制約から、週2〜3回に限られ、消費期限が短い商品の輸配送には限界が生じている。今後は、北部と南部における新たな拠点立ち上げも検討し、さらなる顧客ニーズの取り込みをめざす。
NLCCNの拠点と保冷配送車