中国のパン粉内販健闘
ライオンフーヅ 宮崎 滋夫専務

 業務用パン粉のパイオニア、ライオンフーヅの宮崎滋夫専務(中国浙江省の獅子食品〈嘉興〉董事長)は、中国事業について「急激な円安で日系食品メーカーからの発注は減少しているが、中国内販と日本以外への輸出が伸びている」など次のように語っている。

       宮崎専務

 2014年1〜12月の中国事業は、前年比で微増に止まった。チャイナフリーの影響というよりは、急激な円安で日系食品メーカーからの発注が減少。一昨年の後半から注力している中国内販と、日本以外の輸出が伸びている。内販が伸びているといっても、ベースはまだ小さい。現地の問屋を経由して中国で小売するパン粉の他、加工食品メーカーに原材料として納める2タイプがある。販売先が日系食品メーカーのみだったら、減収は避けられなかった。
 08年に発覚した中国産冷凍餃子(天洋食品)事件以降、日系食品メーカーに販売するパン粉は減少を余儀なくされた。当時は山東省の青島工場(青島獅子食品)のみの製造で、その90〜95%が日本向け製品。さすがに1ルートだけでは何か事が起きた時のリスクが大きい、と考えて、06年頃から日本以外への輸出と中国内販に販路を広げてきた。

日本以外の輸出は欧州、オセアニアが中心

 日本以外の輸出先は、ヨーロッパ、オセアニア諸国が中心。アメリカやロシアからの商談もあるが、価格面での折り合いがつかないケースが多い。
 最近はブラジル、アルゼンチン、エクアドルなど南米に加えて、中東からの引き合いも増えている。ただ単発での発注が多く、量的に安定してくるのは少し先になると思う。
 韓国は既に小麦の関税が撤廃されており、国際相場で動いているため競争力がある。また日本からパン粉の製造技術が入っているので、中国から攻め込むのは難しいマーケットだ。
 日本では、ホテル・旅館、外食店でイスラム圏の観光需要を狙った動きがあり、当然ながらハラール認証は研究している。ただ定義に不明な点も多く、いますぐに対応するというのは難しい。国内よりも中国の工場で検討を進めていく予定だ。