野口正見の「5S活動による食品工場改善」 −34−
B社の現状

 今年1月に工場を訪問したが、5S活動は継続され、さらに進化していた。当初現場で5S委員を務め、部署の責任者だった人たちが役職者になり、活動の推進の中心になっていた。2011年度の5Sパトロール評価点平均は89点であった。
 乱雑、放置、直置、破損、汚れ、カビ、その他のチェック項目を採点したが、これらの項目はパトロールという役割を担う時はすぐ気がつき、それは当たり前のことであったが、作業中はなかなか気がつかない。この仕組みを継続して実施することにより、指標となる評価点は上昇し、高得点の評価は清々しい工場を実現し、それがいまも維持されていた。
 工場周辺は月2回の清掃担当を部署ごとに振り分け、年間のスケジュールを作成して清掃を実施し、近隣対策としていた。また年度ごとに、部署別に5Sの重点項目を決め、評価の点数配分を一番高くしていた。

乱雑だった用具入れを(左)、整理した(右)

 2011年度の生産現場の目標は、【生産一課】排水溝の清掃を重点的に行なう、【一課・入出荷部門】製品倉庫内の整理・整頓、【生産二課】生産機械周りの整理・整頓、【生産三課】排水溝の清掃を重点的に行なう――などであった。
 これらは生産活動が行われている限り、その部署で最も汚れやすく、また最も乱雑になるところである。
 一課、三課は加工部門であり水を使う。二課は主として包装部門で機械が多い。入出荷部門は在庫管理が使命なので、目標の選択理由が理解できる。
 ISO9001の認証も2回の更新審査をパスしていた。当初の状態からはとても考えられないことであった。
 5S活動を体で理解させ、推進委員会でプランを立て、経営陣からパート・アルバイトまで全社一丸となって実施し、パトロールでチェックし、推進委員会で改善の具体策を5W1Hの手法で指示し、確認する――というP・D・C・Aサイクルを回し、その結果、自主性があり、整然とした清潔な食品工場になっていた。

見やすい掲示になるように改善した