東京八王子に新研究所「ｔｈｅ ＷＡＶＥ」
日清食品ホールディングスは滋賀県にあった商品開発・安全性研究施設を東京都八王子市の新施設に移管し、それぞれ「グローバルイノベーション研究センター」、「グローバル食品安全研究所」に改称して５日開設した。２つの施設の総称は「ｔｈｅ ＷＡＶＥ」。世界最先端の研究施設をめざし、麺を中心とした食品開発と食の安全に関する研究に取り組む。土地代を除く設備投資額は約63億円。
新研究所の外観
敷地約８万7000�屐�２階建てで延床約１万9000�屐３梓僂論縮裕，痢崟攷蓮廚鬟皀繊璽佞砲靴娠濺�状とし、外壁のルーバー（すき間を開けて平行に組んだ細長い板）が切り出された「麺」を表現している。230名の研究者が在籍するが、近く300名規模に増員する。
グローバルイノベーション研究センターは�ヾ霑淡Φ罩�応用研究�５蚕儚�発�ぁ平卦蚕僂瞭探�戦略を推進する）知的財産――と、大きく４つの機能を持つ。工場と同じスペックで全長100ｍの連続式テストプラントを初めて設置し、工場で生産ラインを立ち上げる際の時間短縮を図る。
これまで分離していた冷凍食品の開発機能を集約し、新たに菓子・飲料の開発機能も加え、各分野の技術融合を図る。
安価な製造機械で生産コストを抑えることも重視しており、生産機械の開発も手掛ける。
残留農薬検査に使う自動前処理装置
グローバル食品安全研究所は�／�品に含まれる可能性のある危害物質の分析と分析方法の開発�⊃�の安全性に関するリスク管理とリスク評価をするための新規分析方法の開発�９�場の品質調査活動�だこΕ蕁璽瓮鷆┣颯瓮鵐弌爾悗琉汰汗�情報の発信――を担う。
機器メーカーと共同開発した残留農薬検査に使う自動前処理装置は世界に１台しかないという。抽出・ろ過から、脱水、濃縮・乾固までの工程で人の手を介さず、ＧＣ／ＭＳ／ＭＳ用、ＬＣ／ＭＳ／ＭＳ用のサンプルを一度に作成する。１日当たり48検体処理することが可能で、人手の６倍の作業量をこなす。
スープの配合や麺の伸縮具合などを調整するのは職人の感覚で細かい部分まで可能だが、同時に各種の計測機械を使って数値化する。新しい研究課題として、人がおいしい物を食べた際、血流がどのように変化するかも調べている。
施設について説明する安藤社長・ＣＥＯ
４日のマスコミ向け内覧会で日清食品ホールディングスの安藤宏基社長・ＣＥＯは新研究所について次のように語っている。
「時代とともに消費者の品質に対する考え方が変わり、商品を選ぶ際、これまでにない質が求められるようになった。既存の施設では手狭になったため、２倍の規模に拡張した。以前の研究施設では年間５品ほど新しい技術を生み出してきたが、今年度も５品程度の新技術を開発し、他社の物真似商品は作るなと指示している。食品安全研究所については、これまで移り香や発がん性物質など多くの問題点を乗り越えてきたことから、多くを変える必要はないが、今安全だからといって、これから先も安全であるとは限らない。生物化学の研究者が新事実を解明するたびに、これまで安全とされてきた原料が実は発がん性物質だったということも起こり得る。そうした事実はいち早く察知し、改善に取り組まなければならない」。