ウィズコロナを見据え、通販事業に軸足移す
デリカフーズホールディングス 代表取締役社長 大��善保氏
外食向け青果物流通最大手のデリカフーズホールディングス（東京都足立区）はコロナ禍で外食市場が急速に縮小しているため、一般消費者への直接販売や小売り業態の販路拡大に成長戦略の軸足を移す。緊急事態宣言の発出後、すぐに新規事業の立ち上げ準備に入るなど、ウィズコロナを見据えた素早い経営判断が光る。大��善保社長はこれまで培ってきた生鮮野菜の流通ノウハウや鮮度管理のインフラを強みに、様々な企業との連携を進める考えを示す。
大��社長
「４月の緊急事態宣言の発出で外食産業がダメージを受け、我々も売上げが前年同月比70％減と非常に厳しい状況に陥った。特に問題だったのは契約産地の野菜をどのように流通させていくかということ。
そこで契約産地の支援と当社従業員の雇用を維持するため、ドライブスルー方式で野菜・果物をセット販売する『ドライブスルー八百屋』に取り組んだ。この際、購入者にアンケートをとったところ、「野菜が非常に新鮮」、「大きくて味が濃い」との高い評価が多く寄せられた。もともとは外食産業向けの野菜だが、ＢtoＣでも十分勝ち得ると感じた。
早速、当社が東京六本木で展開しているリアル店舗『ベジマルシェ』のブランドを活用し、簡易なＥＣサイトを立ち上げてテスト販売を行った。ここでＥＣビジネスのノウハウを習得することができた。
ＢtoＣ、ＤtoＣ事業の新ブランドとして『青果日和研究所』を10月発足した。ＥＣサイトを12月15日オープンする」
コラボレート企画が続々
「青果日和研究所は同業他社の�螢奸璽疋汽廛薀ぁ陛豕�都大田区、竹川敦史社長）、飲食店コンサル会社の�螢螢肇蝓璽屐陛豕�都渋谷区、丸山朗社長）とともに立ち上げた合弁会社。通販事業やコラボ事業、定期購買・サブスク、ＳＤＧ'sへの積極参加、リアル店舗の展開を計画している。これまでは外食店を通じて一般消費者に生鮮野菜を届けていたが、青果日和は出口を自分たちで生み出す事業にする。
様々な企業とコラボレートしながらブランド力を磨いていく考えで、すでに多くの計画が進んでいる。大手百貨店のギフト事業との共同企画、通販会社との新ブランド立ち上げなどがある。通販会社は生鮮野菜を取り扱いたくても、これまでは難しかった。青果日和は魅力的なブランドという評価をいただいている。このほか、アパレルや雑貨、書店との協業も進んでいる」
ミールキット事業に参入
「通販事業を強化する一環でミールキットの販売にも参入する。自社で開発し、今年の年末にはリリースできる見通し。生鮮野菜に肉や魚、調味料をセットにして販売する。
ミールキットの食材を分解すると、肉や魚は冷凍か調理済み、タレも長期保存が可能だが、野菜だけがフレッシュ。つまりミールキットのセットアップ事業は鮮度やおいしさを保つノウハウを持つ我々にこそ適している。当社のカット野菜の工場で加工後すぐにセットアップすることで、商品価値をより高めることができる。
ＯＥＭも積極的に受けていく。昨年事業提携したエア・ウォーターのグループ会社で青果専門スーパー、九州屋のセットアップを９月から引き受けている。当社の物流センターは完全コールドチェーンを構築しており、野菜の通販ビジネスで今後必要な施設になる。
我々は注文内容が日々変わる外食チェーン約２万8000店舗との取引実績がある。ネット通販は毎日同じ仕分けであるため、我々からすれば容易な仕分け作業といえる。
コロナ禍の影響で苦しい状況が続く同業他社がある中で、当社はありがたいことに金融機関から手厚い支援を受け、事業継続を図っている。今後は体制を再び整えて、新規事業を中心に成長戦略を進めていきたい」
※2021年３月期中間連結決算（４〜９月）の会見から。