阿部万寿雄の「食の安全」と「ものつくり」 −16−
食品工場の運営ノウハウ(2)企業理念

 各企業は経営のバックボーンとして、具体的な経営目標を内外にわかりやすい言葉で明示している。中堅の優良食品会社の事例をいくつか挙げてみた。

M社:本当の美味しさを真摯に追求します
   頑固なほど材料にこだわり・作り方にこだわる
   関西の中堅企業で調理缶詰カレー・シチューのパイオニア
 このメーカーは先代から伝承され磨き抜かれた味へのこだわり、すぐれた調理技術を駆使して冷凍調理食品業界で存在感を示している。

C社:食生活をより健康・より簡単に・より豊かに
   品質の向上・設備の近代化・商品開発に力点を置く
 このメーカーは千葉県銚子市の水産加工会社。社長は2代目で、企業理念に沿い、差別化した煮魚袋詰め主力商品が好評で好業績を続けている。

I社:地球に優しく,美味しさと安全の一体化を図りお客様満足に全力をかたむける
   日本一安心・安全な食品会社になる
 このメーカーは千葉県船橋市の佃煮メーカーから脱皮してチルド・レトルト惣菜メーカー(チキンボールやハンバーグが主力商品)に変身。日本で最初に安全確保のためのトレーサビリティを家庭用商品に導入、実践。安全な原料の確保など消費者の信頼が厚い。

 このように中堅の優良食品企業の企業理念を紹介したが、いずれの企業も明確な企業のこだわり・他社との差別化を持ち、具体的な経営の目標を掲げ、日々実践している。
 結果として厳しい企業環境の中でも各企業の業績は安定した成長を続けている。