食品業界に見直される時が

 神戸製鋼所の楢木一秀代表取締役副社長(機械事業部門長)は2工場を訪問した一行に次のように挨拶した。

       楢木代表取締役副社長

 「当社は鉄しか作っていないと思われがちだが、鉄鋼事業より先に機械部門があったことはあまり知られていない。
 1914年の第一次世界大戦勃発時に日本海軍の要請で高圧縮機を製造した。今もタイヤの原料となるゴムを練るBBミキサーや、ポリプロピレンのペレットを作る装置を手がけている。
 ご覧いただきたいのは『HPP超高圧処理装置フードフレッシャー』。超高圧装置はHIPとCIPがあるが、いずれも50年前から手がけてきた技術。600メガパスカル、つまり大気圧の6000倍の圧力をかけることができる。一部で食品用途があるが大部分は工業用途だった。
 しかし、時代的に、殺菌・滅菌ができ、味が変わらない超高圧の技術を再度見直すチャンスだと考えている。既に牡蠣の殻むきにも使われている。もともとの特性である殺菌・滅菌の用途に、もっと使えるのではないだろうか。アメリカでは既にオーソライズされており、日本でも導入される時代が来ると期待する」。

 参会者一行は見学終了後、神戸市のホテルで懇親会を開催した。
 この企画の中心となった高橋工業の柳井順社長は「新しい技術を見ていただいた。当社が紹介していくので、よろしくお願いする」と挨拶した。
 神戸製鋼所の機械事業部門の山口貢産業機械事業部長は「超高圧は従来の加熱に代わる画期的な手法。皆様の事業の発展にも貢献できることを期待している」と挨拶した。
 中締めは福島工業の福島裕社長。「もし高橋工業にできないことがあればグループとして少しでもお役に立つようがんばる。ユーザーが工場に来て、見ていただけるこの企画はすばらしく、当社も見習いたい。コベルコ(神戸製鋼所)のスクリュー圧縮機は本当にすばらしい。グローバルに高い評価を得ている。超高圧装置にも期待している」と語った。