イートアンド関西工場、外食&冷食で稼働率UP

関西工場の外観。右の円筒状の建物は小麦のサイロ

 「大阪王将」を中心とした外食店と冷凍食品の製造販売を手掛けるイートアンド(本社大阪市、文野直樹社長)は大阪府枚方市の関西工場で2009年8月から、冷凍餃子を自社生産している。冷凍餃子は、08年1月に表面化した天洋食品事件からしばらく続いた買い控えの反動や、競合大手メーカーの値上げ、自社で投下したCMの効果などで注文が急増し、外部委託だけでは間に合わず、「大阪王将」向けに餃子の皮や具、麺を製造していた関西工場に、冷凍餃子用の成形機を2台導入した。「途中までは外食も冷食も同じ」(文野社長)との考えから、外食店用食材と冷凍食品を同一工場で生産し、工場の稼働率を高めることに注力している。
 ところが、成形機2台ではすぐに生産が間に合わなくなり、翌09年4月に3台増設し、2ライン体制とした。これにより成型機計5台で1時間当たり3750パック(12個入り)を生産することが可能になった。

大量に使うキャベツを洗浄する

ミンチにする前の原料肉

計5台の成形機で毎時3750パック生産することができる

 工場の3階では、冷食用の餃子の皮と外食店用の餃子の皮、ラーメンの麺を製造する3つのラインがある。いずれも小麦を原料とし、途中で水や塩の配合を変えてそれぞれのラインに流している。外食店用の皮はその場で丸く型抜きして店舗に配送し、冷食用はロール状にして1階の成形機に運んでいる。
 2階では主に餃子の具を製造している。主原料のキャベツは洗浄してみじん切りにし、脱水する。肉は豚・鶏のさまざまな部位を仕入れ、生産品目によって配合を変えている。店舗向けはそのまま配送、冷食用は皮と同様、1階の成形機に運ぶ。2階では冷凍「天津丼の具」も製造している。

トンネルフリーザーで急速凍結する

 もともと生産ラインを置いていなかった1階に成形機、蒸し機、フリーザー、包装機械、金属検出機・エックス線検査機などを配置し、量販店向け「大阪王将たれ付餃子」をメインに、生協向けや贈答用の冷凍餃子を生産している。

群馬に関東工場を移設、12年8月稼働

急速凍結後、金属検出機を通す

 一方、セントラルキッチン程度の規模しかなかった埼玉県越谷市の関東工場は、群馬県板倉町に移設・拡張する。すでに着工しており、12年7月完成予定。東日本エリアの基幹工場として、関西工場と同程度の生産規模を備える。
 新工場のテーマは「やさしい物語のある工場」。見学者用通路を設け、ガラス越しでも間近で生産現場が見学できるように設計した。外食店用の食材のほか、冷凍餃子・水餃子を生産する。群馬県を選んだのは「高速道路などの交通の便がいい。それに餃子の主原料でもあるキャベツ、豚肉の産地であり、水がきれい。水道代も“優しい”」(仲田浩康取締役常務執行役員)のが決め手になった。

「大阪王将たれ付餃子」の差別化ポイントでもあるたれを
2個投入する工程

 フードエンジニアリングタイムス(FEN)2012年1月4日号掲載