【タイ報告(1)】
N&Nフーズ、高付加価値路線へ
 えびフライ中心から「えびカツ」に注力

 N&Nフーズ(タイ)はニチロ(現マルハニチロ)とナロンシーフーズの合弁で1990年設立、翌91年3月に工場を完成、稼働した。主に日本向けに手作り基調の調理冷凍食品を生産。タイの日系企業としてはいち早く、日本国農水省の偶蹄類・家禽の食肉加熱処理施設認定を取得した。これにより水産・農産・畜産の幅広い品揃えを可能にした。

N&Nフーズの松岡信人社長(右)と添田博工場長

 マルハニチロの冷凍食品ユニットの直営工場という位置づけにあり、日本基準の厳重な管理体制のもとに運営している。日本人6名が駐在、食品衛生法に準じたマルハニチロによる指導を徹底している。
 従業員数は800人(66%がミャンマー人)。最低賃金は2年前から日給300バーツ(約1000円)を支給。タイ人とミャンマー人に待遇の差はない。
 工場はバンコク中心部から南西の通称マハチャイ地区に位置する。敷地面積1万1320坪。凍結能力は日産30t。ローカルの水産原料が水揚げされる漁港に近く、主要積出港のレムチャバンへは約3時間、バンコクポートまでは約1時間の距離。

 <第1工場>たこ焼き、野菜かき揚げ、えびかき揚げ、えび天ぷらなどの焼き物・天ぷら類、えびフライ、えびカツなどのパン粉付製品と、えびチリソース、グリーンカレー等のパウチ製品など、水産調理食品をメインに製造している。
 <第2工場>小龍包、えび餃子、えび焼売、中華ちまきなどの点心・飲茶製品、大葉やチーズを挟み込んだミルフィーユカツ、チキンミルフィーユカツなどの畜肉製品を作る。

 1991年に工場を稼働して以来、数多くの商品ラインに挑戦してきた。今も100品を超えるアイテムを製造する。さらに、新しい商品ラインへの挑戦にも積極的に取り組んでいる。工場内に開発室を設け、8名のスタッフが新商品の開発と既存品の品質改善に取り組んでいる。
 今もっとも力を注いでいるのが「えびカツ」である。
 周知のようにタイのえび養殖は減産に追い込まれ、必然的に原料価格が高値安定状態にある。同社でも今年度はえびフライの生産が激減し、より付加価値の高いえびカツへと生産をシフトしている。
 マルハニチロ本社も日本国内でえびカツの販売キャンペーンを実施、強力に販売をバックアップそているが、その成果もあって、今期のえびカツの売上高は前年より3割方増加している。
 えびカツ原料は今年度からタイ産バナメイのほかにインド産天然えびの使用も開始した。

手際よいえびの前処理

松岡社長「畜肉加工の関連設備を増強」

 松岡信人社長は今後の取り組みについて次の通り語っている。そこで「畜肉使用商品の引き合いが増えている。畜肉加工の認可をもつ第2工場の凍結能力、油調設備、空調設備等を増強し、日本国内の要望、中国代替需要などに応え、EU向けの販売増に対応したい。また、付加価値のある商品、差別化したPB商品を導入するために、マルハニチロの開発部門と力を合わせて商品開発に取り組む」。

えびかつライン