森永・高瀬所長に科学技術賞、牛乳アレルゲン除去食品の開発を評価

 森永乳業栄養科学研究所の高瀬光徳所長は「風味良好な低抗原たん白分解物の工業的製造法の開発」で2010年度文部科学大臣表彰の科学技術賞を受賞した。牛乳アレルゲン除去食品「ニューMA−1」などの製造技術の開発が、日本の社会、経済、国民生活の発展上などに貢献している画期的な研究開発成果と認められ、「開発部門」で受賞した。
 牛乳たん白質は良質なたん白質源で、育児用ミルクなどに古くから使用されているが、牛乳アレルギーの児童は通常の育児用ミルクを飲めず、医療現場や保護者から低抗原性、風味、栄養価などに優れた本格的なアレルギー治療用ミルクが強く求められていた。
 高瀬所長は新しい発想で牛乳たん白質に対してたん白分解酵素の組み合わせと最適な反応条件を見出した。また、抗原性確認と分解度分析法を併用することで、風味が良好で低抗原性の両方の特徴を持つ特定の乳たん白質分解物(ペプチド)の工業的製法を確立し、国内初のアレルギー治療用ミルク「MA−1」を生みだした。
 さらにこの技術はアレルギー素因のある乳児用の予防的育児ミルク「E−赤ちゃん」の開発にも発展。これらの製品は従来克服できなかった風味の改良を実現し、アレルギー分野の画期的なミルクとして臨床的にも高く評価されており、医療現場や保護者から長年の信頼と使用実績を得ている。