“最高品質”のコロッケ、岩見沢モリタンで加工

 ローソンは北海道産のじゃがいも「キタアカリ」を使った「ゲンコツコロッケ」(税込135円)を3日発売した。ローソン史上“最高品質”をうたい、通年販売するコロッケとしては最高価格に設定。レジカウンター周りで販売するファストフードは夕食の食卓向け惣菜にも力を入れ、40〜50代の女性客などに客層を広げる考え。

ゲンコツコロッケ

 既存の「ゲンコツメンチ」は年間3000万個を販売しており、ゲンコツコロッケも同程度かそれ以上の販売数量をめざす。
 原料のじゃがいもはJAようてい(本所=北海道倶知安町)が供給する。男爵いもを使ったコロッケがホクホクしているのに対し、キタアカリを使ったコロッケはしっとりとした舌触りと甘みが特徴だが、温度管理が難しいため、じゃがいも全体の作付面積の2%と希少品種。ローソンは国内のキタアカリ収穫量2万6000tのうちの約1割に相当する2720tをJAようていから調達する。JAようていは、キタアカリを室温2〜3℃、湿度90%に保って保存している。
 加工は冷凍コロッケメーカー、モリタンの岩見沢工場。乱切りしたキタアカリを茹でるのはなく、蒸した後、でんぷんの糖化が進行しすぎないよう凍結し、牛肉、玉ねぎ、調味料と合わせて成形、パン粉付けして凍結する。隣接する工場でかぼちゃとラードを練り込んだ専用のパンを使い、生パン粉を生産する。水分の移行が少ないパン粉により、サクサクとした食感を実現した。牛肉はオーストラリア産とメキシコ産、玉ねぎは北海道産を使用。「数量が確保できれば、ゆくゆくは淡路島産の玉ねぎを使いたい」(友永伸宏カウンターFF部長)という。
 店内で凍結したまま油調すると18分かかるため、レンジで30秒加熱してから6分間揚げる。レジカウンター横のホットケースのスペースには限りがあるため、袋詰め販売を併用する。
 ローソンは35年前から店内にフライヤーを導入し、からあげクンなどのスナック系をメインに販売していたが、2010年から食卓向けの揚げ物惣菜に本格的に取り組み始めた。
 昨年度の揚げ物の売上げは100億円増の730億円。これを15年度には1000億円に引き上げ、そのうち約50%は食卓向け惣菜が占めると見込んでいる。揚げ物の粗利益率は約50%と全商品平均の31%を大きく上回っている。
 玉塚元一社長はゲンコツコロッケについて「専門店を食べ歩いて開発した。同業他社の商品は意識していない。むしろ、地域に密着した食品スーパーのにぎわいのある売場を見ている」と語っている。業態間の垣根を越えた競争の激しさがうかがえる。

 フードエンジニアリングタイムス(FEN)2014年6月11日号掲載