気仙沼をグループの介護食の拠点に
�螢筌茱ぅ汽鵐奸璽此＼賁魁弊源宰槁�長） 佐々木尊司氏
東日本大震災で主力の気仙沼工場（宮城）を失ったヤヨイサンフーズ（当時はヤヨイ食品）だが、今春気仙沼工場を復活することが決まり、新たな取り組みに期待がかかる。
気仙沼工場は熟練者中心にスタート
佐々木専務
――気仙沼工場がいよいよ復活する。
佐々木 来年４月に着工し、2020年８月にテストランを開始する予定です。本稼働は同年10月か11月になるでしょう。どういう生産設備にするかの中身はまだ詰めているところです。
――マルハニチログループの中の位置づけは？
佐々木 グループの工場のプラットフォーム化も考えなくてはいけないことです。（親会社）マルハニチロの伊藤滋社長は、気仙沼工場を“未来に向かって介護の分野での主力工場にしたい”と、仙台で今年執り行った気仙沼工場の立地協定締結式で表明しています。
――当初は介護食、水産カツと、現在気仙沼松川工場で生産している煮魚の３ラインでスタートすると発表している。３ライン増えることによって既存工場の方向性も変わるのでは？
佐々木 今まではスペースに余裕がないので、既存ラインを移設できませんし、ラインを止めることもできませんから、工場を改装しにくい。気仙沼工場ができることでそのあたりは変わるでしょう。気仙沼松川工場は返却することになります。もともと３〜５年のつもりで借りた工場で、７年となるといろいろと限界が出てきます。
――九州工場のソフリラインが空くことになる。
佐々木 ラインが空くので、そこをどうするかも気仙沼工場がある程度稼働してから検討します。とはいえ、ソフリの一部を移すということであり、全てを移すわけではありません。九州工場に残すソフリをもっと広いスペースで作るというプランも考えられます。
――えびカツの生産は？
佐々木 現在九州工場で生産しています。２工場で生産することになりますが、えびやかには値上がりしているのでどうなるか。
一番期待しているのは品質向上
――気仙沼工場ではかなりの自動化を考えている。ソフリも現在の手作り的なバッチ方式ではなく、連続生産化する計画と聞く。
佐々木 自動化も重要ですが、期待しているのは品質をより高めることです。
――人手不足対策だけではないと？
佐々木 震災後に九州第二工場がスムーズに立ち上がったのは、立ち上げたほとんどが気仙沼工場から来た人だったからできたこと。それと同じことをしたい。新気仙沼工場の場合、当初の従業員の３分の２は気仙沼松川工場をはじめとする既存工場の経験者でまかなう計画です。具体的には150人のうち新規は60名だけ。それも、震災後に旧気仙沼工場から移って今回戻ることを希望している人は新規としてカウントします。従って人材面では大丈夫だと考えています。
地元採用増やし既存工場で研修
――新規採用は気仙沼周辺から？
佐々木 そうです。今年から来年にかけての２年間で新卒を10人ほど採用し、清水工場（静岡）や九州工場で研修をしてもらう予定です。すでに今年も４〜５人採用しています。150人のうち気仙沼松川の70名に帰還者を含め100名くらい。さらにこれから経験を積む新卒の採用者。
――気仙沼周辺で「ヤヨイ」のブランドは今でも浸透して愛されている。気仙沼市長も立地協定締結式でそう語っていた。
佐々木 そうですね。ヤヨイは気仙沼の会社だと思っている人が地元には多いです。実際、地元の高校の就職担当者から「二次募集はないのですか」と問い合わせがあったくらい人気はあります。今年の夏には来年卒業する高校生10名以上が清水工場を見学してくれました。中には「こんなに大きな会社だったのか」と気後れする生徒もいたそうです。就職前に仕事を見てもらえば採用後の定着率向上にもつながります。
――では人手不足は心配ない。
佐々木 むしろ、自社工場の中では長岡工場（新潟）のほうが人手を集めにくい。周囲に食品関連の工場が多いので。
――新工場以外の自動化は？
佐々木 昨年は九州第二工場で、箱詰め後の箱積みにパレタイジングロボットを導入しました。第一工場はまだなので、来年見直す考えです。清水工場は早期から導入済みですが、長岡工場はスペースがない。
――冷凍機の自然冷媒化は？
佐々木 徐々に進めていて、今年は２基です。清水工場も１基を変更しているところ。長岡工場は今年の年末から来年にかけて１基を自然冷媒タイプに更新します。
――気仙沼工場の投資があるので、既存工場の大型投資は難しい？
佐々木 というより、設備の更新にけっこう投資がかかります。絶対に必要なので、そこはしっかりしなくてはなりません。更新しないと必ず不具合がどこかに出てきますから。