揚げ油を1.5倍長持ちさせる油脂発売
不二製油、酸価を抑制、コスト減らし環境にも優しい
不二製油はフライ油が1.5倍長持ちし、廃油量が減るローコスト・エコ対応の食用油脂新製品「ＣＯＯＫＰＡＬ（クックパル） タフロング」（16kg缶）を15日発売開始した。
ＣＯＯＫＰＡＬ タフロング
独自に開発した「酸価上昇抑制技術」（ＣＡＶ製法）とパーム油の高配合により、フライ油の劣化を抑え、揚げ油を従来品より1.5倍長持ちさせる。
クエン酸ナトリウムを活性化して添加することで、油質を劣化させるアルデヒドの過酸化分解を、従来のパーム混合油と比べ66％も抑制する。さらに、パーム油を高配合しているため、長時間フライしても油の臭いやべたつきが気にならず、「おいしさが持続する」（同社）という。物質特許を出願した。
実験によれば、コロッケを連続して揚げると、従来の油は19時間で酸価2.5に達し、使えなくなるが、新製品は33時間と明らかに長持ちする。店頭モニターテストでも、従来品が使い出して８日で全ての油を交換（廃油）する場合、新製品は15日間使うことができた。
フライ時間を大幅に延長できるため、廃油量を減らせる。これがコストダウンと地球環境対応にもつながる。
同社の既存の油脂ユーザーに加え「これまで取り組みが弱かった外食向けにも提案する」（同）。また、コスト対策と環境対応に積極的に取り組んでいる冷凍食品工場や給食センターなどにも商品案内を強化する。
国内の食用油は約240万ｔ使われているが、このうち約40万ｔが廃油となり、一部は物流・再生・エネルギー・労力面でリサイクルされ、再生しきれない廃油は不法投棄されることもあり、環境への問題が生じていた。そこで不二製油は産業廃棄物となる廃油が出にくくする油脂の開発に取り組み、完成させた。
廃食用油の問題は日本に限らず、世界、特にアジア諸国で問題となっている。
中国は年間で2250万ｔもの食用油を消費し、その10％に相当する200〜300万ｔは規格基準外の有害油が占めている。「有害油」は日本の10倍量あると言われる。そこで国家食品薬品監督管理局は「有害油の使用禁止」を緊急通知したが、広大な国土ではリサイクルシステムが機能しないため、問題は解決していない。中国以外のアジアでは人口増に伴い、同様に廃食用油の問題が深刻化している。
不二製油が今回開発した「廃食用油が出にくい技術」を使えば、海外展開の可能性も高くなる。
フライ油が劣化するメカニズムは次の様になっている。
�．侫薀ぬ�に酸素、水分、高温が加わる→��熱酸化、加水分解、重合→�６棒�成分、酸価上昇、粘度上昇→�そ�気、匂い、油酔い、規格外、泡立ち、着色の発生
フライ加熱すると、劣化成分として極性成分、揮発性成分、酸化物が発生する。
フライ油は継ぎ足して使われるが、全ての油を入れ換える判断は「酸価」をチェックすることで行なわれることが多い。業態によって基準は異なるが、不二製油のまとめによると、「フライ油使用指針」は次の様になっている。
�（枦�、惣菜→原材料油脂としては酸価（ＡＶ）１以下かつ過酸化物価（ＰＯＶ）10以下、揚げ処理中の油脂は発煙点170℃以上またはＡＶ2.5以下またはカルボニル価50以下（厚労省弁当およびそうざいの衛生規範）
�⇔篥狄�品→食用油で揚げる場合の揚げ油はＡＶ2.5以下（ＪＡＳ規格）
�Ｂ╂別洋燿�麺に含まれる油脂はＡＶ３以下かつＰＯＶ30以下（食品衛生法規格基準）、油揚げ麺の油脂はＡＶ1.2以下（ＪＡＳ規格）、味付け油揚げ麺の油脂はＡＶ1.5以下（ＪＡＳ規格）
�ぬ�で処理した菓子・油分10％以上→製品中に含まれる油脂はＡＶ５以下、ＰＯＶ50以下、ＡＶ３以下かつＰＯＶ30以下（厚労省指導要領）
�ヌ�揚げ→製品に含まれる油脂はＡＶ３以下（農水省地域食品認証基準作成準拠）
新製品の窓口は油脂加工食品カンパニー油脂加工食品販売部門（池田正史執行役員部門長）。