地下水熱、排水熱をヒートポンプに活用
工場の空調・給湯コストを大幅削減
システムユニット化で導入コストを抑えた
産業用太陽光発電システムや動力モーター節電システムを販売する専門商社のさつき(株)（大阪市中央区、祖父江一郎社長）は地下水や工場排水を空調・給湯に活用する水熱回収型ヒートポンプシステムの販売をこのほど開始した。
主なメリットとして�仝�熱費の大幅削減、��投資回収目標２〜５年、�Ｃ六挫肋歎燭離┘擁篏�金が利用可能――などが挙げられ「工場のコスト節減に貢献する」（担当者）としている。
新システム「フリートシステム」の特徴は、通常は空気熱を回収して温度調節を行うヒートポンプを水熱回収型に置き換えた点にある。空気熱回収型でも従来システムの燃焼式ボイラーや吸収式冷温水発生器に比べて冷暖房効率は３倍以上になるが、外気温に左右される弱点がある。
一方で地下水、工場排水は共に年間を通して温度の変動が少ないため熱エネルギーを効率良く回収することができ、冷暖房効率は空気熱型をも上回る。「設置環境にもよるが、空調・給湯のランニングコストは30〜80％削減が期待できる」（担当者）という。
補助金活用でイニシャル負担軽減
水熱回収型のヒートポンプは以前から存在していたが、償却10年以上と初期投資が高いうえに、腐食の問題から水道水レベルの水質が必要などの理由で普及しなかった。そこで「フリートシステム」は熱交換器や制御システム、触媒フィルターなどを全てユニットシステム化して低価格を実現したほか、特殊な触媒フィルターと腐食に強い熱交換器を採用して地下水・工場排水にも耐えられるようにした。
また、「フリートシステム」を導入するうえで大きなポイントになるのが補助金の活用。経済産業省の「地域の特性を活かしたエネルギーの地産地消促進事業費補助金」（予算70億円）では、地下水・工場排水は再生可能エネルギーとして認められるため、導入費の１／３まで補助を受けることができる。同社が補助金の申請サポートも行うという。
「フリートシステム」の導入費と導入後のランニングコストで見ると投資費用は数年で回収でき、次の設備更新時期となる15年後の効果額は大幅に積み上がる。「費用対効果の高い省エネ対策はこれ以上ない」（担当者）として、地下水・工場排水を利用したいという企業、従来設備の更新を検討している企業に向けて販売を強化する。
地下水を空調に利用したヒートポンプシステムの例
工場排水を給湯に利用したヒートポンプシステムの例