技術を最大限に活かして資源循環型社会の実現をめざす施設の建設が全国で動き出している。各地域ともバイオマス利活用の普及とそれによる地域振興の可能性に期待を寄せている。
完成した「三浦バイオマスセンター」
三井造船環境エンジニアリングは三浦地域資源ユーズ(神奈川県)から受注していた「三浦バイオマスセンター」をこのほど完成させた。三浦市の衛生センターの老朽化にともない建て替えたもので、し尿・浄化槽汚泥だけでなく、同市の特産物である大根、スイカなどの農産物残さ(未利用バイオマス)や処理後の小魚など(廃棄物系バイオマス)の水産物残さを一括して処理可能な点が特長だという。
また、処理の過程で生じるメタンガスは施設を動かすためのエネルギーとして再利用しつつ、堆肥化設備も備えており、堆肥を生産し、農家へ供給可能な資源循環型の施設となっている。
大林組、石塚建設興業からなる共同企業体は日本で初めてPFI方式で整備する生ごみのメタン発酵施設「稚内市バイオエネルギーセンター」を3月の完成をめざし、着工している。
生ごみをメタン発酵で減容化することで、埋め立て最終処分場の寿命を延ばすとともに、メタン発酵から得られるバイオガスによりエネルギーを回収する。また、一部直接埋め立てている下水道汚泥、水産廃棄物などについても処理が可能。
処理能力は1年間で約7300tと、稚内市内で発生する生ごみをほぼすべて処理することができるように設計されている。処理によって得られたバイオガスはガスエンジン発電機によるコージェネレーション、ごみ収集車の燃料、ボイラー燃料に活用する。
PFI事業者は大林組(代表企業)、石塚建設興業、三菱化工機で構成する特別目的会社(SPC)の「稚内エネサービス株式会社」。稚内市から生ごみ中間処理施設整備・運営事業として約31億円で受注した。
PFI(Private Finance Initiative)は公共サービスの提供に際して公共施設が必要な場合に、従来のように公共が直接施設を整備せず、民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの提供をゆだねる手法。
ヤンマーエネルギーシステムと佐賀市は、下水浄化センターで発生する未利用の消化ガス(バイオガス)でガスエンジンコージェネレーションシステムを運転し、発電と同時に排熱を有効活用することで、温室効果ガスの排出抑制と下水浄化センターの運営経費削減を同時に実現させている。また、25kWという小規模なコージェネを16台設置することで、メンテナンス時や故障時の停止リスクを軽減し、設備稼働率の向上を図っている。
ヤンマーエネルギーシステムはエネルギーの有効活用や平準化、省エネルギーを目的として、都市ガス・LPガス仕様のマイクロコージェネレーションを1998年から販売してきた。現在のラインナップは都市ガス・LPガス仕様で5〜35kWで4機種、バイオガス仕様で25kWを販売しており、これまでの累計販売台数は4500台を超えている。
バイオガス仕様マイクロコージェネは、下水系、畜産系、食品・ゴミ系など受注物件も含め21物件69台が採用されている。