農業ICTによる地方創生モデルを共同推進

 群馬県利根郡みなかみ町日立システムズは、農業ICT(コンピュータやインターネットに関連する情報通信技術)による地方創生モデルを共同推進することで合意した。
 みなかみ町の人口は1955年の3万6000人をピークに下降を続け、現在は約2万人まで減少し、過疎化・高齢化が進んでいるため、持続可能な地域づくり推進のため、具体的な振興策づくりが急務となっている。
 町の主要産業である農業や観光業を活性化させ、人口流入を増やし、活気ある町へと再構築するため「みなかみ町 まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定。今後取り組むべき施策を掲げている。
 農業分野では、農業従事者の高齢化、耕作放棄地や鳥獣被害の増加など農業振興を図るうえで多くの問題があるが、持続可能な地域づくりのためには次世代の育成が課題となっている。農業を魅力ある産業に転換する必要もあるが、個々の農家による取り組みだけでは不十分。法人化や農業ベンチャーの育成・誘致を進め、農業を大規模・集約化し、生産性の向上や就労環境を改善し、マーケットニーズへタイムリーに対応するなど新たな仕組みが必要だった。
 みなかみ町は、民間企業の事業・経営ノウハウを活用し、より効果的で具体的な振興策を立案、実施したいと考え、農業ICT 分野に知見を持ち、自治体業務にも精通している日立システムズと農業ICT による地方創生モデルを共同推進することに合意した。
 背景を踏まえ、日立システムズは、ICT活用により農業の大規模化・集約化を促進し、周辺産業の活性、雇用創出を支援するため、内部環境の現状や事業モデルの実現性を多面的に調査する。
 日立システムズは、ビジネスパートナーであるアグリコンパスのノウハウや、アグリコンパスの親会社である三井物産が有する食品マーケット情報などを活用して、ICT 活用による高付加価値いちごの通年栽培、温泉熱を活用したハウス栽培、栽培施設や直売所のショールーム化による観光業の活性化など具体的な計画を立案する。日立システムズは、今回策定する計画書に基づき、引き続き設備施工から栽培管理、販売管理まで幅広く支援する考え。
 みなかみ町は「日立システムズの調査結果を踏まえて、具体的な施策の立案とその実現に向けて取り組みたい」としている。