2022年のUDF生産額507億円、とろみ除く4区分は増加

 日本介護食品協議会(森佳光会長=キユーピー執行役員広報担当)は会員企業91社を対象にした2022年UDF(ユニバーサルデザインフード)生産統計の集計結果を1日公表した。

 市販用・業務用を合わせた生産量は前年比95.5%の7万3943t、生産額は96.8%の507億1800万円といずれも減少したが、これは「とろみ調整食品」が生産量・生産額でともに半減した影響が大きく、これを除くUDFの4区分は概ね好調に推移した。

 生産量・生産額を区分別で見ると、「容易にかめる(区分1)」の生産量は前年比91.4%の4万8838t、生産額は103.7%の232億9500万円。「歯ぐきでつぶせる(区分2)」は120.1%の6472t、112.2%の49億200万円となった。

 「舌でつぶせる(区分3)」は106.8%の9972t、111.0%の113億5500万円、「かまなくてよい(区分4)」は125.6%の6600t、115.4%の65億200万円、「とろみ調整食品」は50.8%の2061t、48.0%の46億6400万円となった。 

 「容易にかめる」の生産量が減少したのは、その他常温品の一部市販品で価格改定が行われた影響とみられる。生産額の増加は業務用冷食の伸びが貢献した。

「かまなくてよい」で冷食需要が増加

 「歯ぐきでつぶせる」は生産量・生産額ともに21年の前年割れから回復し、伸び率2ケタとなった。これも業務用の冷凍タイプの大幅伸長が区分全体をけん引した。「舌でつぶせる」、「かまなくてよい」も市販用のレトルトタイプ、業務用の冷凍タイプが好調だったことで前年を上回った。

 近年は「かまなくてよい」が数量を順調に伸ばしている。今回は市販用・業務用で冷凍タイプの需要が増えており、日本介護食品協議会の分析では、在宅でのミキサーやペースト食の調理負担軽減の観点から積極的なリピート需要があったためとみている。業務用ではムースやゼリー類の取り扱いが増えたという。

 「とろみ調整食品」が半減した背景には特別用途食品(消費者庁)の「とろみ調整用食品」制度を取得した製品が急増したことがある。同制度を取得した製品でUDFマークを削除したケースが多かったという。特別用途食品として認められると用途を「嚥下困難者向け」と明確に表示できる。同協議会は「在宅への用途の啓発に有効として各社が一斉に取得に向かった」と指摘している。