低温物流の生産性を上げる
(株)日本アクセス 代表取締役社長 佐々木淳一氏
佐々木社長
低温食品卸��1企業の日本アクセスは、全国に500以上有する同社物流センターを再構築する考え。佐々木淳一社長は「低温物流インフラを再構築し、生産性を上げる」と方針を示している。
――コールド物流網を全国に持っている。
佐々木 幹線物流で、北海道から九州までつないでいる。それを差別化の武器に、例えば北海道の乳製品やデザート等を首都圏の小売店に配荷し、首都圏の商品を北海道に届けている。しかし北海道から首都圏に来る商品の売上高に対し、その逆がまだ少ない。復路の積載率を上げていきたい。
――物流改革についての考えは。
佐々木 当社は全国に500以上のセンターがある。インフラを持っているがゆえに、ビジネスが成長しなくなると、それが弱みになる可能性がある。老朽化や狭あい化などの問題を抱え、稼働率が低いセンターは、再構築をしっかり行う必要がある。稼働率をしっかり上げ、汎用性の高いセンターをつくり、老朽化した拠点は省人化を図り、最新のマテハン機器を導入するなど、人手をかけずにセンター業務ができるようにしていく。実証実験を行うセンターを作り、従来は人がやっていることを機械化するなど、業務プロセスを見直し、生産性を上げる。当社の強みをさらに磨くことに人材と資金を投入する。
――インフラを強みにしていくと。
佐々木 強みにすることを考えないといけない。既存プラットフォームを最大限に有効活用できるビジネスがまだあるのではないか。そこをもっと掘り下げていきたい。一般事象として、物流が破綻の危機にある。それをビジネスチャンスに変えることができないか。そのようなことを考えると面白い。取り組み次第で仕事が楽しくなる。
――変化への対応力をつけるため必要なことは何か
佐々木 人材の強化が肝心。その一環で、生鮮・デリカを提案できる社員を多く育てている。私事だが、惣菜管理士試験を2017年に受験し３級に合格した。「社長が受けるならば私も頑張ろう」と促すねらいがある。当社は１〜３級の資格取得者が増えたが、これは卸でダントツに多い。有能な人材を育て、現場のニーズをくみとり、商品開発と差別化できる商品提案につなげていく。
――食品の販路としてドラッグストア（ＤｇＳ）が注目されている。
佐々木 ＤｇＳは全般的に元気が良く、客数、客単価も前年実績を上回っている。好調要因に、食品のシェアアップと調剤併設型店の増加がある。ＤｇＳは機能を高めることで客数をさらに伸ばすはず。バックヤードまで手掛けるＤｇＳはないとすれば、惣菜はどうするのか。当社と縁のあるデイリーメーカーが多数ある中で、稼働率が悪いところがあるなら、そのキャパを使って競争力のある惣菜を並べることも可能だろう。留め型を含めたＰＢも並べることができれば面白い。
――日本アクセスのオリジナル商品の取り扱い規模は現状どのくらいあるのか。
佐々木 今期はアクセスブランド30億円、メーカーの留め型商品30億円、計60億円程の規模。これを倍増したい。できれば200億円は扱いたい。つまり売上高２兆円の１％程度を目標にしたい。商品開発の成果でインストアシェアを伸ばす成果をあげたい。これができれば取引先からもメーカーからも喜ばれる。当社も収益が伸ばせる。実現のため商品開発部隊を増強することや、ニーズを吸い上げるための現場強化が不可欠。独自の品揃え強化の延長線上に、製造業者のＭ＆Ａがあってもいいと私は考えている。
――独自の品揃え強化を図るのはなぜか。
佐々木 売上総利益率の良いビジネスをしなければならない。その中で、アクセスブランドとメーカーと取り組む留め型商品を増やすのは必須。生鮮・デリカの扱いを増やすのも必須。売上高を競う時代ではない。問題はどう利益を上げていくかにある。当社は収益力�癸韻鬚瓩兇后７仂鑞�益率１％を確保し、さらにどう肉付けするかが肝心。より筋肉質な企業体質にしなければならない。物流改革だけで経常利益率１％を保つのは難しい。